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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

はじめまして

はじめまして。

ここに書かれているお話しはすべて百海のアタマの中の空想・妄想からなるお話です。

主人公はアジアのスター、韓国の人気男性デュオのお2人ですが

名前とイメージのみで実在の人物とはまったく関係ございません。

そんな2人が愛し合うという、BL小説です。

お2人のイメージが崩れる、BLがわからない、嫌い、許せないと嫌悪される方、
または18歳以下の方は閲覧されないようお願いします。

他にも同事務所のアーティスト様や韓国の俳優さん、女優さんのお名前が出てきますが
同じくご本人とはまったく関係ない空想・妄想の人物になります。

キャラ設定もお話しによってさまざまです。

ご自身が傷つきそうであれば、閲覧されないようお願いいたします。


世知辛い世の中、辛い現実、刺激のない毎日、
そんな日々をこの美しいお2人で癒されたい、と私と同じようにお考えの皆さま、
私、百海の妄想にお付き合いいただければ幸いです。

しつこいようですが、百海固有の空想・妄想のお話しです。
お話しの内容にクレームをつける、誹謗・中傷はご遠慮願います。

性描写が描かれる場合はパスワードによる閲覧となります.
パスワードに関するお問い合わせもご遠慮ください。





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蒼い観覧車〜あとがき



百海です。

「蒼い観覧車」最後まで読んでいただきありがとうございました。

兎にも角にも、みなさまにはいろいろとお詫びをしないといけないことがたくさんありまして(^◇^;)

最後までアップの時間がズレ込むという
連載としては有るまじき状況…

お話の内容はともかくとして
そういう意味でもドキドキさせてしまいました

本当に申し訳ありませんでした

そして、そっとご指摘くださった皆様
ありがとうございました

ご指摘を受けなかったら、次の更新まで気づけなかったと思います。


また、たくさんの拍手ポチ、コメントをいただいていたのに、途中からお返事を放棄してしまい、本当に申し訳ありませんでした。

私自身が、みなさまのコメントを楽しみに、そして励みにしているのに、失礼極まりないことだったと思います。

それでも、コメントをくださって
本当にありがとうございました。

お返事を遠慮させていただいた事で
きっとコメントは減ってしまうだろうと寂しく覚悟していたのですが、そんなことはなくて、とても嬉しかったです。

「このお話はこういうことだね」というコメントに感激してなぜか涙し、雄叫びコメントに悦に入り、大ウケして涙し、レスポンスの速さにも感動しました。

コメント欄の方で思いを綴ってくださった方もいて
恐縮な気持ちになりながらも
お話を書いてよかったな、と思いました。


このお話の2人はいつもよりエッジの効いたキャラにしたくて

チャンミンの甘えっ子ぶりと、ユノのスパダリぶりをいつもの1.5倍くらいの味付けにしてみました

ユノについては、真面目でまっすぐな人柄なのに
愛情表現が少々セクシャルに傾きがちなキャラです。

愛おしい!と思うと、すぐにチャンミンを寝室に引っ張り込んで押し倒してしまうし
自分の指を甘噛みさせるというオレ様プレイもこなしていました。

ハッテンバでチャンミンの身代わりを探すという、
なかなかフィジカルなユノでした。

いかがだったでしょうか

それだけ愛して溺れたチャンミンを
ユノは命をかけて守ろうとしました。

2人の幸せに影を落とすスビンは
とても可哀想な子供時代を送り、大人に振り回され
それが人間性の基盤を作ることになってしまいました。

いつのまにか、心にできた潰瘍がスビン自身を覆い尽くし、狂気へと導いてしまいました。

チャンミンはというと、
高校生の頃から、スビンにほとんど洗脳されていて
自分の意志では動けなくなっていましたが
ユノを愛しはじめて変わりました。

必死でチャンミンを守ろうとするユノを
今度は自分が救おうとすることで、少しずつ自我が芽生え、強くなっていきます。

お話の軸は、クラゲのようにフラフラとしていたチャンミンが成長していく過程を描きたいと思いました。

最後はもう少し大人にさせるつもりでしたけれど
ユノはチャンミンをベタベタに甘やかしたいと思うので
結局甘えっ子ぶりはそのまま残しました(笑)


リアルな2人の明日コンも佳境ですね!
私も明日から福井です

この後、個人的には名古屋、東京、1月大阪と続きます!

コメントの中でこんな私に会いたいと書いていただいてとても嬉しいです!

よく、ほかのホミン作家さんたちが
フリーペーパー的な本を作られて
ライブの時にこっそり配ったなんて話を聞くと
とても羨ましいと思っていました

オフ会開かれている方もいらっしゃるようで
私も同じ趣味(?)のトンペンさんたちと
心ゆくまでホミンバナできたら、どれだけ楽しいかな、と思いますw

フリーペーパーなどは作ったことがないので
ちょっといろいろ調べてみようかな、などと考えています。

いつ実現できるか謎ですが(^◇^;)


次回はたぶんすごく可愛いお話になると思います
可愛いのはもちろんチャンミンなのですけどwww

だんだん寒くなってきました

明日コン真っ最中なので
みなさま体調には十分気をつけてくださいね

風邪も流行っています
すでにかかってしまった皆さんはどうかご自愛ください

それではまたお会いしましょう



最後にこのお話でコメントをくださった、お名前のわかる皆様。
お名前だけ呼ばせてください!10月25日18時現在
(順不同、コメントの非公開はお名前伏せてます。
拍手コメントは載せてます。ご希望あれば削除します )


meguさん☆ばんり☆さん えみんさん みやチャンさん
ラフランスさん gingeraleさん のんさん bubuichiさん
くみちゃんさん がまりあんさん michiponさん mako':さん まりおんさん みかんさん まりさん
子ヒゲさん けいりんさん chika♪ さん tuun07さん
bataさん hikoさん chi-koさん いつも有難うございますさん れいさん 鈴子さん あささん えみさん nonnonさん
ゆのうささん ふふふ。さん takaエムさん
dayan8210さん nyanyaさん ゆのっくまさん あひるさんみんみんぜみさん すえかさん Karenさん

そしてお名前はわからないけれど毎日拍手してくださった皆様ほんとに感謝しています。

皆さま、本当にありがとうございました!




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蒼い観覧車〜完





「あ、そのあたりね、高速沿いの遊園地に行く人で
夕方からは渋滞するから、迂回したほうがいいよ」

「そうですか、ありがとうございます」

ユサンがサービスエリアで掲示マップを眺めているところに、トラックの運転手がアドバイスしてくれた

ネットで迂回を調べてみても

蒼い観覧車の話題ばかりが検索に引っかかる


" プロポーズはあの蒼い観覧車で "

" 入隊する前に、あの観覧車に2人で乗ろう "


ユサンは微笑んだ

チャンミンさんがデザインした観覧車
すごい人気なのね…


ユサンは、ユノとチャンミンがレストランをオープンしたと聞き、そろそろ落ち着いた頃かと思って訪れた


思ったより行き方は簡単で
運転を習い始めたばかりのユサンでも1人で来れた


訪れたレストランはSNSで見たとおりの
素晴らしい店だった


アイビーが絡まる白い漆喰の壁

季節によって、外で食べてもいいし
中の内装も自然に溢れていてとてもいい

赤く塗られた木の門を開けて
チャンミンが出迎えてくれた

長身に白いシャツと黒いカフェエプロンが良く似合う


「いらっしゃい!」

「お久しぶりです」

「ちょうどランチが終わったところで
ユノも中で待ってます」


レンガと木で作られたその店の中に入ると

ユノが満面の笑顔で出てきた

日に焼けた男らしい顔立ちに
優しそうな瞳

店を手伝っていたのか
チャンミンと同じ白いシャツに黒いカフェエプロン


「いらっしゃい」

「オープンしたては混むかと思って
やっと来てみたんです」

「正解です」

そう言ってユノは笑った


「お2人のカッコ良さも、ネットで話題になってますよ」

「そうですか?」

チャンミンも照れ臭そうに笑った


ユサンは席に案内され
チャンミンが腕を振るった美味しい料理をご馳走になった

食後にコーヒーを持ってきたユノが気まずそうに話した


「あの…スビンは…どうですか?」

「ええ、順調だと思います
カウンセリングには本人から積極的に行くようになって
先生もいい傾向だと」

「そうですか、よかった」

ユノはホッとした表情だった

チャンミンがそんなユノの様子をみて安心したように微笑む


「外のガーデンも有名なんですよ?
ユノが手がけているんです」

「それは拝見したいです」

「どうぞ」

チャンミンがユサンを案内した


案内されたガーデンは
あえて整えず、ナチュラルに草花が咲いているように見えたけれど、かなり計算されているのだそう

ユサンとチャンミンはその中を2人で散歩した。


「今度はユノは薔薇をやりたいんだって」

「大変なんでしょ?薔薇って」

「うん、でも僕も手伝ってあげたいから
勉強中です」

「お2人は上手くいってるみたいですね」

「そうでもないですよ?」

「え?」

「いろいろあったんですよーもう!」

チャンミンが笑いながら
怒ったように頬を膨らませる


「どんなことが?」

「このガーデンはユノがやりたいってことで
それに手を貸したのが、遊園地の緑を担当してくれた人なんですけど」

「ええ」

「もう、それが、以前にユノとワケありだった男の子で…」

「あら、それは大変」

ユサンは笑った


「ユノも、チャンミンは俺を信じないとかなんとか
怒っちゃって」

「あらあら」

「結局は僕がユノを信じて正解だったんですけど
そこは気を使って欲しかったなぁなんて」

「ま、そうですよね」


「喧嘩することもありますけど
でも…ユノを失うよりいいって、結局そう思うんです」

「…私も…そう思います」

「僕たちはほんと、そう思いますよね」


「あの…チャンミンさん」

「はい?」

「私、あの時、後から気づいたんですけど」

「あ、もしかして…」

「チャンミンさんも?」

「…あの時の…ご夫婦?」

「そうです」

「僕も、後になって不思議だなって。
あの時は夢中でわからなかったんですけど
ひょっとしたら、亡くなったスビンのご両親だったのかなって」

「そう思うんです、私、確信したんです」

「写真かなにか、見ましたか?」

「ええ、でも、男性の方は声しかわからなくて。
スビンの話だとユノさんによく似てるって聞いてたんですけど」

「そうなんですか…僕もわからなかったな…」

「この間、法事があって、スビンのお母様の写真を拝見して、やっぱり私たちに声をかけてくれたあの方でした」

ユサンは少し涙声になった


「そう…」


チャンミンも涙ぐんだ

「あの時、僕、男の子なんだから泣くなって」

「叱られてましたね、フフ…」

「ご両親、自分の息子には
同じ道を歩ませたくなかったのかな」

「そうでしょうね、きっと。
お父様はユノさんもスビンも救いたかっただろうし」

「あの時、あのご夫婦が声をかけてくれなかったら」

「ほんと…」



ユノがガーデンを散歩する2人に
声をかけた

「もう一杯コーヒーどうですか?
チャンミンが焼いたタルトがあるんです」

「いいんですか?嬉しい。いただきます!」

ユサンはまた店内に戻ってコーヒーとタルトをご馳走になった。


「すっごく美味しい」

「でしょう?」

ユノが自慢気に笑った

「ウチのチャンミンは最高なんです」

「いろいろとご馳走さま」


ユノが穏やかに言う

「いつか…その…スビンと来てください」

「はい、私、スビンをずっと見守ります
もう少し時間はかかるかもしれませんけれど
いつか必ず2人で来ます」


チャンミンが優しく微笑んだ

「となりの観覧車に2人で乗って
頂上でキスしてください」

「え?ああ、伝説ですね!」

「はい、そうすれば2人は永遠に離れません」

「是非!」

穏やかな時間が流れた


「ここでウェディングパーティをしたら
とてもいいと思います」

ユノの表情が明るくなった

「そう思いますか?よかった。
実は来月、元嫁の妹がここでガーデンウェディングをするんです。」

「素敵ですね!」

「はじめてなので、ちょっと力入ってます」



失いたくないと思った愛

手離したくないと思った幸せ

あの時、私とチャンミンさんは
泣きながら走ったのだ


愛する人を
絶対失いたくなくて、必死で。


だから、今ここに笑顔があるのだろう


「私、遅くならないうちに帰りますね」

「あ、今の時間、高速混んでるんですよ、
もう少し先から乗るといいので、俺達が誘導します」

「いいんですか?」

「今日はディナーは閉店します」

申し訳なく思いながらも、
ユサンは2人の軽トラックに誘導されて、店を後にした


チャンミンは助手席でのんびりと外を眺めた

山あいの中に、蒼い観覧車が見える


離れたくない恋人たちが
こぞってあの観覧車に乗りに来る

伝説を作ったのは、僕とユノ


これからも

何があっても

離れない

一番乗りだったんだからね、僕たちは


「何うれしそうな顔してるんだ?」

「うれしそう?」

「ああ、キスしたくなる」


そう聞いて、チャンミンはニッコリと微笑み
運転するユノの頬にキスをした


「あー危ないなぁ、チャンミン
運転してるのにダメだろ」

「自分が手を出せないから
ダメだろ、でしょう?」

「わかってんのか、じゃあ尚更ダメだな」

ユノは笑った

チャンミンも笑った


車は抜け道を通るために
少し街中に入った


ユサンを見失わないように
バックミラーを確認しながら運転するユノが本当にカッコいい。


「せっかく街まで出て来たから、
後で買い物でもする?」

「うん!」


その時、
車の窓の外に何かが飛んでいるのが見えた


それは、風に煽られ

街の中を舞うビニールの袋だった


海の中を意志を持たずに漂うクラゲのようなそれ


かつては、自分も同じような存在だと
憂いたこともあった。


でも


今は違う



しっかりと自分の意志で生きていると
実感している

ユノに甘えることはたくさんあっても

何かあれば、ユノを守ることもできる


チャンミンはそんな今の自分が
好きだった








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長い間、お付き合いいただきまして
本当にありがとうございました

明日はあとがきになります。
よろしかったら遊びにきてくださいね

最終回に20時アップし損ねて申し訳ありません(汗)

百海

蒼い観覧車 39




チャンミンは配達先が岬である事を知ると
いてもたってもいられなかった。

要望欄には「キャンプをしているのでそこへ届けてほしい」とある。

誰が立ち入り禁止区域でキャンプをすると言うのだ。


スビンしか考えられない…


配達はチャンミンの仕事なのに
代わりに自分が行くと言ったユノ。

ユノが1人でスビンと対峙しようといているに違いない。


" お前と会えて…
俺の人生って素晴らしいんだって思えた "


" 覚えておいてほしい。俺、すごく幸せだ "


" 俺はずっとお前と一緒だ…"


ユノ…

いつも…あなたはそうやって…

自分が盾になろうとする…


不安で、恐ろしくて涙が出る。

こんな泣き虫を置いてどこかへ行かれないと
あなたは言ってた。

だから、ひとりで勝手にどこかへ行くなんて
許さないから。


チャンミンはユサンに連絡をとった。

スビンの居所がわかったら教えてほしいと
さっき話したばかりで連絡先を聞いていた。


「チャンミンさん?」

「ユサンさん、どこにいるの?」

「まだ…電車が来なくて、そのまま駅にいるんです」

「スビンの居場所がわかったかもしれない」

「え…」

「どうしますか?!」

「行きます!」

「迎えに行きたいんですけど、トラックがないんです」

「私がタクシーで行きます」

「お願いします!待ってますから」


しかし…時間がたってもユサンは来ない。

そのうち、ユサンから連絡が来た。


「チャンミンさん、タクシーがなかなか来なくて。
先に駅に来たバスに乗ってます。これどこまで行くのでしょう?」

「あ、それは…ウチの農園までも来ないんです。
どうしようかな…じゃあ、僕、自転車でバス亭まで行きます!それで僕の自転車で」

「はい!」




足をかけた柵が崩れてユノがバランスを崩した。

一瞬、咄嗟にスビンがユノの腕を支えた。

その腕を少し驚いたようにユノが見つめる。


「ユノは父親似だね」

スビンがつぶやいた

「父はね、母と一緒にここから飛び降りたんだよ」

「え……」

「嫉妬に狂った母が、君たちにもう悪さをしないように」

「まさか…」

「父は、前の晩、僕に詫びをいれた。
許してくれと」

「……」

「今のユノも同じだ…チャンミンのために…」

「………」


「誰かに…自分のしていることを止めてほしい…
きっとその時の母も…僕と同じだったんだな…」


ユノはギュッと目を閉じて、スビンの腕を掴み直した

そんなユノをスビンが縋るように見つめる

「ユノ、僕を抹消してくれ…頼む…」




「ユサンさん!!」

チャンミンが古ぼけた自転車でバス亭までたどり着いた

バス亭にはユサンが不安そうに立っていた。


「チャンミンさん、連絡ありがとうございます」

ユサンは頭を下げた。

「スビンはたぶん岬にいます!ユノと一緒に!」

「岬?あのご両親が亡くなったところ?」

「そうです。すみませんけど、こんな自転車しかなくて
とりあえず、後ろに乗ってください」

「あ、はい」


チャンミンはボロボロの自転車の後ろにユサンを乗せて
とりあえず走り出した。


「チャンミンさん、走ったほうが速そう」

「とても走れるような距離ではないんですよ」


ユノ…間に合わなかったら…


その時だった。

後ろからエンジンの音がする。

振り向くと、一台の乗用車が農道をこちらに走ってくる

黄金のススキたちが、その車をいざなうように揺れていた。


「あ…」

チャンミンとユサンは自転車を降り捨て
その車に向かって大きく手を振った。


「たすけてください!」

「止まってください!」


車は手を振り乱す2人の横に止まった。


「あの!」

駆け寄るチャンミンに
助手席の窓が開いて、年配の女性が叫んだ。


「早く乗りなさい!間に合わないわよ!」

「え?あ…ありがとうございます!」


チャンミンとユサンは
後部座席に乗り込んだ

女性の夫だと思われる男性が運転席から2人に声をかけた

「岬だね、スピード出すからベルト締めて」

「はい!ありがとうございます」



どこまでも続く黄金のススキ

ガタガタと農道を車が行く


チャンミンがふと窓の外を見ると
遠くに蒼い観覧車が見えた

ユノ…

チャンミンの目には涙が溢れて
観覧車が滲んで見える

2人であの観覧車に乗って誓ったんだ

絶対離れないって

頂上でキスした2人は離れない

伝説を作ったんだよ?

そうだよね…ユノ…


「泣かないの、男の子でしょう?」

不意に助手席の女性に言われて
チャンミンは驚いた

「あ…はい…すみません…」


その時

なぜ

不思議に思わなかったのだろう


この夫婦が僕たちが慌てている事をなぜ知っていたのか

岬へ急がなければならなかったことを
一言も話していないのに、なぜ知っていたのか


そして、なぜあのタイミングで来てくれて
僕たちを乗せてくれたのか…


その時はまったく不思議に思わなかった



やがて、車は岬の入り口に着いた


運転席の男性が言った。

「ここで降りなさい。
私たちはここから先へ行かれない」


「はい!ありがとうございます!」

僕とユサンは
転げ落ちるようにして車から降り

走った


岬の入り口には、立ち入り禁止のロープが外されて
隅に丸められているのが見えた

怖かった…

ユサンが先に岬の中へ走って行く。

あ…


僕たちの視界に飛び込んできたのは

大海原をバックに

ユノとスビンが
向かい合って、互いの腕を取り合っている図だった


「ユノ!!!!!」

「スビン!!!!」


僕たちの半狂乱の叫び声は

波の音と風の音に流されて、2人に届かない


走った


大声を出しながら走った


僕の声が大きな泣き声となって
空にこだまするころ


やっとユノが僕を見た
ハッと何かに気づき、正気に戻ったかに見えた


スビンも振り向いた

あのスビンが泣いている


「ユノ!!!!」

「スビン!!!!」


ユノとスビンがあっけにとられたように
こちらを見ていた


バカ!!!!!


僕はユノに対する怒りがこみ上げて来た


その時、走るユサンが足元の小石につまずき
激しく転んだ


それを機に、スビンとユノがこちらに走って来た

ユノの足元から小石が海に落ちるのを見て
僕はゾッとして気を失いそうになった。


スビンがユサンに駆け寄ると
ユサンが転んだまま、大声をあげた

「スビンのバカ!!!」


ユノは立ちすくむ僕のところへ来た


「チャンミン…」


愛おしい…僕のユノ…


「バカ!!!!ユノのバカ!!!」

僕はげんこつを振りかざし大泣きしながら
ユノに向かっていった

「バカ!バカ!なんで僕を置いていくんだよぉっ!!」

「あ……」

ユノの目から涙が溢れていた

僕はユノの肩から胸から
力まかせに叩きまくった


「離れないって言ったじゃかないかっ!!!」

「チャンミン…」

「うううう…うう…バカ…」


僕は…泣き崩れた



岬には夕陽が沈もうとしていた

涙の音とススキの揺れる音

転んだまま泣き崩れるユサンと棒立ちになっているスビン

僕の泣き声


この世界には

僕たちしか存在してないのかと
そんな錯覚を起こすような

現実離れした景色だった







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こんばんは、百海です
明日は最終回となります

蒼い観覧車 38




ユノは岬の入り口まで来ると、
トラックを停めて外へ出た。


案の定


岬の入り口には、一台の乗用車が停まっていて
ボンネットに寄りかかるようにしてスビンが立っていた


すっかり痩せてしまったスビンが
ユノに気づいて手を振った

げっそりと痩せたスビンは
微笑む様子が狂気じみていて恐ろしい


ユノはそれには応えず

スビンを睨みつけるように見据えて
ニコリともせずスビンの元へゆっくりと歩いていった

立ち入り禁止であるはずのエリアなのに
人の侵入を阻むものは何もなかった


ユノは堂々と歩いて行った

姿勢のいい体躯

陽に焼けた肌は凛々しい顔立ちに精悍さを加える

ともすれば冷たい怖さもあるその表情は
チャンミンを視界に捉えることで破顔する

すべてを包み込むようなその優しい視線が

今は、スビンを射るように見つめる


ユノはスビンの手前で歩みを止めた


「なんだユノか、チャンミンが来ると思ったよ」

スビンはニコニコとしていたけれど
その目はどこを見ているか定まらない

それは狂気を孕んで鈍く光る


「チャンミンが来たら、なんだ?」

「チャンミンに用があってね」

「何の用だ」

「ストレスの多い毎日だろうと思ってね」

「前置きはいいから、用件を言え」

「なんだよ、お宅は客に向かってずいぶんだね。
野菜を買ってやったのに」

「それなら持って来たから、さっさと帰るんだな」

「おいおい、上客だよ」

「断る」

「ずいぶんだね」

「お前は、今や犯罪者だ。
犯罪者に売る野菜はない」


「ほぅ、いったいどんな犯罪を犯したって言うんだ
僕が何か手を下した事件でも?」

「手を汚さずに何かを仕組んだと
自分で言ってるようなものだな」

「なんのことだか」

スビンはソッポを向いた


「スビン」

「………」

「ずいぶん痩せたな、どうした?」

「………」

「常に俺たちの事を考えてばかりで
お前も疲れてるみたいだな」

「君たちの事を考えると気分がいいんだ」


「…望みはなんだ?」


「もっと気分がよくなりたいね」


「……悪魔に成り下がったか」


「アハハハハ…悪魔だって」

スビンは笑いながら、岬の先へ歩き出した

ユノは少し考えて、その後を追った


「スビン、そっちは危ない」


スビンは柵まで歩いて行き、振り返った


「知ってるよ」


「………」

「君とあの妾を憎みながら、僕がチャンミンを道連れにここから飛び降りるって計算だったんだけどね」

ユノはゾッとした


「チャンミンが言うことを聞いてくれるように、
それなりの薬物も用意してる」


ユノの拳が震える


「ユノは一生苦しむだろ」

「………」


「シナリオは変えない。
これからもチャンミンが悪魔に連れ去られないように
ストレスの多い毎日を送るんだな」


「………チャンミンと一緒に死にたいのか」



「死んでも死にきれないほど君が憎いからね。
君を苦しめるにはチャンミンを痛めつけるのが一番だ」

「………」


「君の影で僕がどんなに辛かったか
一生かけて思い知るといい。」


「この場所を死に場所にするのは
両親が死んだ場所だから?」


「………そうかもしれないね」


スビンは岬の向こうの海を眺める


「………」


「僕はチャンミンと死んで、ユノ、君の中にずっと生き続ける」

「………」


「悪魔としてね」

勝ち誇ったようにスビンは微笑んだ


ユノは柵のところにいるスビンに詰め寄った


「チャンミンを道連れになんか、させない」


スビンは笑った


ユノの目にはそんな悪魔の笑みは映らなかった


ユノの耳には、波の音と共にチャンミンの甘い声が聞こえる

甘えた声
拗ねた声
明るくはしゃぐ声
ユノに翻弄され甘く喘ぐ声

愛おしい…

ユノの心に浮かぶのは

チャンミンのクリクリとした大きな瞳

可愛い笑顔

ユノを慕う、その縋るような表情


" 大好きだよ、ユノ "

" ずっと一緒にいようね "


「ユノ…僕を突き落とすか?
君にはそれはできないよ」

「………」

スビンは尚も、勝ち誇った笑みのままだ

「やれるならやってみたらどうだ?
罪の意識で一生苦しめばいい」

「………」

こんな状況にも変わらぬ不敵な表情


「僕はね、君が苦しむなら
自分が死ぬことなんて、なんてことない
突き落としてくれて、構わないよ」


「………」


「フフフ…でも、ユノ、君は人殺しはできない
僕とチャンミンが心中したら、その後一生苦しめ」


「よく…わかるね、スビン」

「……」

「俺は人殺しはできない、お前とは違う」


ユノはゆっくりとスビンを柵に追い詰めるけれど
スビンはなんてことない表情だ


「俺は人殺しはできないけれど…
ここからお前と一緒に飛び降りることはできる」


そこではじめて、
スビンが狼狽える表情をみせた

「な…なに…を」


はじめて見る、スビンの怯え


「俺と飛び降りようか、スビン」


「なっ…」



「俺さ、チャンミンと2人で蒼い観覧車に乗ったんだ」

「あ、蒼い…観覧車?」

「チャンミンの夢だったんだよ
俺と2人であの蒼い観覧車に乗るのがね」

「それが…なんだ…」

「チャンミンの夢を叶えてやったから
俺はもういいんだ」

「…意味が…」

「俺の夢は…これからチャンミンが実現してくれる
一生懸命…俺のために」


スビンが後ずさりすると

ユノが一歩前に進む


「俺の夢をチャンミンが叶えてくれるんだよ
こんな幸せ…ないだろ」


「………」


「お前がいくら俺の不幸を望んでも
俺はチャンミンがいるから幸せなんだ」

ユノは微笑んだ

「俺からチャンミンを奪うことなんて
誰にもできない」

ユノはスビンの腕を掴んだ


「さあ、潔く行こう」

「ユノが俺なんかと死ねるわけない!」

「兄弟なんだからさ、それも悪くない」

「兄弟…?」

「前に話しただろ、俺はヒョンニムが欲しかったんだよ」

「………」


「だから、俺たち2人で飛び降りるのも悪くない」


ユノが歩を進めると、スビンがもう一歩後ろにさがり
今まで見たことのないような怯えた表情になった。


ユノのチャンミンに対する愛情は
スビンの想像をはるかに超えていた


「馬鹿じゃないのか…ユノ…」

「さあ、スビン」


ユノがスビンの腕を掴むと
スビンがバランスを崩し、柵の鉄棒が一本崩れた


スビンの足元から小石がいくつか海に落ちる


ユノの瞳は…なにを見ているのだろうか

今、こんな崖から飛び降りようとしているのに
なぜ微笑む


「僕と…飛び降りるなんて…」


ユノはスビンの理解を超えた
はじめての人間かもしれない


ユノがスビンの腕を掴んだまま、
崩れた柵に足をかけた


「下は見るなよ」

そう言ってユノは微笑んだ






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