プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

はじめまして

はじめまして。

ここに書かれているお話しはすべて百海のアタマの中の空想・妄想からなるお話です。

主人公はアジアのスター、韓国の人気男性デュオのお2人ですが

名前とイメージのみで実在の人物とはまったく関係ございません。

そんな2人が愛し合うという、BL小説です。

お2人のイメージが崩れる、BLがわからない、嫌い、許せないと嫌悪される方、
または18歳以下の方は閲覧されないようお願いします。

他にも同事務所のアーティスト様や韓国の俳優さん、女優さんのお名前が出てきますが
同じくご本人とはまったく関係ない空想・妄想の人物になります。

キャラ設定もお話しによってさまざまです。

ご自身が傷つきそうであれば、閲覧されないようお願いいたします。


世知辛い世の中、辛い現実、刺激のない毎日、
そんな日々をこの美しいお2人で癒されたい、と私と同じようにお考えの皆さま、
私、百海の妄想にお付き合いいただければ幸いです。

しつこいようですが、百海固有の空想・妄想のお話しです。
お話しの内容にクレームをつける、誹謗・中傷はご遠慮願います。

性描写が描かれる場合はパスワードによる閲覧となります.
パスワードに関するお問い合わせもご遠慮ください。





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湿度(11)



帰りの車で、やたらはしゃぐチャンミンに
ミナは憐れむような笑みで応えている。

ユノは困惑し、ソンヒは不思議そうだった。

ユノは、順番としてミナを先に下ろし、ソンヒを下ろし、そして最後もう少しチャンミンと話をしようと思った。

観覧車では自分が結婚の話なんかして
チャンミンの抱える悩みを断ち切ってしまった感があった。

それなのに

ミナが降りる時、チャンミンも一緒に降りてしまった。

「え?チャンミン…」

ソンヒがユノの肘を軽く小突いた。

「邪魔しないの」


あ…

そう…だよな

「じゃあ、また会社で」


そうやって、2人は当たり前のように連れ立って
歩いて行った。


ユノはバックミラーでそんな2人の仲睦まじそうな様子を見ていた。

「いい感じだわね、あの2人」

「ああ…うん…」

「観覧車の中で何を話していたの?」

「うん、何の話ってこともないけど
悩み事があったみたいで、そこをうまく聞いてやれなかった」

「ミナが聞いてくれるわよ」


なにげないソンヒの言葉が、ユノの心の奥を鋭く傷つけた

ユノの目つきが変わった

「何いってんだよ」

「え?」

「ミナがチャンミンのすべてをわかるわけないだろ」

「ユノ…」

ユノは車を止めた

「俺にしか、わかってやれないことがあるんだ。
チャンミンには俺にしか話せないことがあるんだ。
何にも知らないくせに、適当なこと言うな」

「……」

「……」

「あ…ごめんね、ユノ…」

ソンヒにあたってしまった…

「…いや、大きな声出して悪かった」

「あなたとチャンミンには、私にはわからない世界があるわよね、適当に言っちゃって…」

「……」

「深い意味はないのよ、ごめんなさい」

ソンヒは悪くないんだ

無性にイライラした…

「俺こそ、怒ったりして…ほんとごめん」

そう言っていきなりユノはソンヒに口づけ、車のシートに押し倒した




ミナがチャンミンの様子を気にする

「チャンミン…」

「うん…」

さっきまであんなにはしゃいでいたチャンミンが
車を降りればすっかりふさぎ込んでしまい。

「観覧車、あんまり楽しくなかったみたいね」

「ヒョン、ソンヒさんと結婚したいみたい」

「え…」

「ごめん、ミナ。言わないでおこうかと思ったけど。僕がミナなら知りたいかなって」

「うん、言ってくれて、いいよ…そうなんだ」

「ミナは観覧車楽しかった?」

「うん、久しぶりにオンニと2人で話ができた。
昔から憧れていたってことは告れたよ」

そう言って静かにミナは微笑んだ。

「ソンヒさんはなんだって?」

「嬉しいって抱きしめてくれたわ」

「よかったね、ミナ」

「どうなんだろ。辛いよ、それでも」

「そりゃそうだけど」

「チャンミン」

「なに?」

「チャンミンは私の立場とは違うと思うのよ」

「どういうこと?」

「うん、うまく言えないんだけどね…
ユノさん、チャンミンと同じ気持ちなんじゃない?」

アハハハとチャンミンは高らかに笑った。

「ずっと僕だけのヒョンでいてくれるらしいよ」

「そう…」

「そうやって距離を置かれた」


「もしかしてだけど」

「うん」

「苦しいんじゃないのかな?ユノさん」

「至って、穏やかそのもの」

「そうなのかな」


それからも、ユノとチャンミンは会社では普通に過ごし、表向きは何事もなく過ぎていく

ユノはひとり焦っていた

チャンミンへの思いをどう断ち切るか
元のヒョンとしての自分をどう取り戻したらいいのか。

誰にも相談できないこの気持ち

自分で昇華するしかない…


プロジェクトの途中だったけれど
ユノに研修の話がきた。

部長からは無理をするなと言ってもらえたけれど、できれば参加してほしい口ぶりだった。


ユノは1ヶ月の海外研修を受けることにした。

「1ヶ月、プロジェクトを進めない、というわけには行かなくて」

「本社からのオファーでしょ?将来のためにも参加するべきだわ。後は私たちにまかせて」

ソンヒは大賛成だった。


その日久しぶりにユノはチャンミンをランチに連れ出した。

いつもなら、あれが食べたい、これが食べたいと
甘え放題のチャンミンがユノにメニューを任せる。

「好きなの頼んでいいのに。店だってお前が選んでよかったんだぞ?」

「特になかったからさ」

「しばらく会えないから…って言っても1ヶ月だけどね」

「聞いたよ、研修に声がかかったなんて
さすがユノヒョンだね」

「仕事は部長が相談役で入ってくれるから
ソンヒやスンホとその間頼むな」

「大丈夫だよ」

「チャンミン…」

「なに?」

「気になってたんだ…お前、なにか悩みがあるんじゃないのか?」

「悩み…そんなの…ないけど」

そう言いつつ俯いてしまうチャンミン

「俺さ」

ユノの声に、少しチャンミンが顔をあげた

「お前の悩みを解決できるのは
俺だけだと思ってるから」

ユノの瞳は真剣だった

「ありがと」

そう言ってチャンミンは笑った。

「なにかあったら、相談するよ」


チャンミンはランチから戻っても
なにか思いつめたような、そんな様子が消えることなく

ユノは心配だった。
このまま、研修に行ってしまうのが心残りだった。

それはヒョンとしての気持ちと、
そしてひとりの男としての気持ちとが混ざり合う
なんとも鬱陶しいものだった。


その日はそれぞれが珍しく残業なく帰れそうで
部長はみんなを誘って飲みに行こうとしていた。

それでもチャンミンだけが、部長へ今夜は失礼すると断りの挨拶をしていた。

「チャンミン、行かないのか?」

「どうしてもやっておきたい事があってね」

「そうか…早く終わったら連絡しろよ?」

「うん!行けたら行きます」


部長はいつもより、ちょっといい店に連れて行ったくれた。
頼もしく、仕事のできる部長をユノも尊敬していたし、部長もユノの仕事ぶりを買ってくれていた。




その頃チャンミンはなんとか仕事をかたづけ、
帰ろうとしていた。

部長の飲み会に行ってもいいのだけれど
今夜は帰りたい

そうチャンミンは思っていた。

ロッカーを開けるとき、ユノの椅子にシャツがかかっているのを見つけた

着替えたのかな…だらしないなぁ

チャンミンはそれを拾い上げて
ユノのロッカーに入れようとした

その時、少しだけ…ユノの匂いが鼻をくすぐった

ロッカーに入れようとしたそのシャツを
チャンミンは見つめる

ユノの温もりが感じられるような気がして
たまらない想いがこみ上げた

ユノ…

僕だけのヒョンでいてくれようとしているね

このまま何もなければ
ユノはソンヒさんと結婚をして
僕をずっとそばに置いてくれる

弟として…ね。

それはね、だけど…

僕にとっては拷問と同じなんだ

チャンミンはユノのシャツを抱きしめた

愛しいユノ…

そのシャツに顔を埋めれば
まるでユノに包まれているような気がして
チャンミンは頬ずりをした

抱きしめもらった時の温かさ
そして力強さ…

ごめんね、僕は…

それ以上の気持ちを抱いてしまっているんだ

悲しみと愛しさが溢れてくる

チャンミンはそのシャツを抱きしめて泣いた


その時だった


カタ、という小さな物音に顔をあげると


まさか


そこには驚いた顔のユノが立っていた



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百海です。

「湿度」どうでしょうか。
すっきりしない、ぬぐいきれない想いを抱える2人のお話です。
そろそろお話が動きます。

昨夜は誤解を招くようなコメントをしてしまい、
すみませんでした。
批判コメントについての事なので、気にされないでくださいね^ ^
温かいお言葉もいただき、嬉しかったです
いつもありがとうございます

湿度(10)



ミナとソンヒを先に観覧車に乗せ

ユノとチャンミンがその後の観覧車に乗った。


「結構高くまで上がるらしいよ」

「チャンミンは高いところ好きだからな」

「ヒョンは苦手だよねー」


ユノは微笑みながら
外の景色を眺めている


ユノが変だ


チャンミンは昼ご飯を食べようとエントランスでユノを見つけてから
その様子がおかしいことに気づいていた

なにがどうおかしいかと言えば


ユノがチャンミンの目を見なくなったのだ


いつも、いや今朝までは
ユノはしつこいほどチャンミンに執着し
世話を焼いて

チャンミンの一挙手一投足で
すぐに怒ったようになったり、急に喜んだり

そんなユノが実はチャンミンには嬉しかった

それなのに、急に穏やかになったかと思ったら
チャンミンを見なくなった


「ヒョン」

「なんだ?」

「僕の目を見ないね、ヒョンは」

「……」


それには答えないで
ユノは眩しそうに目を細めて、遠くを見る


「僕、なにかした?」

「してないよ」

「じゃあ、どうして」

「どうしてって…何もないよ」

「僕さ、ユノヒョンに構われるの結構好きなんだよ?」

「構ってた?俺」

「うん」

「お前も小さなチャンミナじゃないのに
構われるとかないよな」

「そんなことない」

「チャンミン」

「なに?」

「ミナちゃん、いい子で良かった」

「………」


急になんだよ

これは拒否だ、そうチャンミンは感じた


「大事にしてやれよ」

ユノが笑う

少しだけ近づいた太陽の陽を浴びて
輝く笑顔が眩しい

こんな小さな入れ物に乗って
2人きりなのに

今、太陽に2人で少し近づこうとしてるのに

ユノは僕に他の人と仲良くしろなんて言う

2人きりで観覧車なんて
そんな夢のような時間

結局はこれが現実だ

そして、さらに現実はチャンミンを打ちのめした


「俺さ…そろそろ結婚しようかと思って」


「は?」


「そんな驚くような事じゃないだろ。
結婚が早すぎる歳でもないよ」

「ソンヒさんと…だよね…」

「ああ…」


外の青空とは裏腹に
チャンミンの心に真っ黒な雲が立ち込めていくようだった。

「…そんな話聞くために、一緒にこれ乗ったんじゃないよ」

「え?」

「最近、ちゃんとヒョンと向き合ってなかったから
2人きりで話がしたかったんだ」

「…チャンミン」

「小さい頃の話とか…ううん、そんなんじゃなくて
…えっと…」


自分たちの絆を確かめたかった…
もういちど。


そんなチャンミンを
ユノは抱きしめたいと思った

でも、もうチャンミンへの気持ちを自覚した今
抱きしめるだけで、自分は終われない

「これからの話も大事だろ。
俺たち、もう子供じゃないんだからさ」

「……ヒョンは勝手にいろんな方向に行っちゃうよね、ほんと」

「……」

「たまに、ついていけない」

「そんな思いをさせたなら、あれだけどさ」

「うん」


「俺はお前を離さないよ、なにがあっても」


チャンミンはドキッとした

期待している意味では、ないだろう

たぶん、兄と弟、という意味だろう


「だから、安心しろ
いつも側にいるからさ」

そう言って、ユノはチャンミンの頭をクシャクシャと撫でた

「お前のヒョンは俺だけ」

そう言って笑った

ユノの白い歯があまりに爽やかで

自分の湿度の高い鬱陶しい想いが
拭いたいのに、どうにもならず

ユノは泣きそうな言葉を言ってくれているのに
それは自分と距離をとる言葉にしか聞こえない。


「ずるいよ、ほんと」

外の爽やかな景色と、
この小さな箱の中の湿度に

あまりにギャップがありすぎる

自分は結婚するのに、離さないとか
お前には俺だけなんていって、それはヒョンとしてだとか。

なんだよ

「ずるい、とか意味わかんないよ、チャンミナ」

「チャンミナなんて呼ぶな」

「………」


届かぬ想い…

「構ってほしいとか言ってみたり
チャンミナって呼ぶなって言ったりさ」

「……」

「お前もなんだかわかんないよ」

そう言ってユノは笑った


「たぶんね…」

「ん?」

「ヒョンが結婚するのが、寂しいんだと思う」

「だからーずっと俺はお前の…」

「もういいよ…」

「チャンミン」

「こんな話するために、乗ったんじゃない」

「……」

「こんな雰囲気になるために乗ったんじゃないよ」

ふーっとユノがためいきをついた

気づけば、観覧車はもうすぐ地面に着く。

ソンヒとミナの観覧車が地面についているのがわかった。


たまらなく悲しい

ユノヒョン…


自分たちの観覧車も地面に届こうとしている


「ヒョン」

「ん?」

「僕、めちゃくちゃでごめん」

「チャンミン?」

「わけわかんないこと言って
困らせてごめんね」

「困ってないよ」

「ソンヒさんと幸せに」

「え?」


やっとそれだけ言えた

ガタンと音がして、観覧車のドアが開き

ありがとうございました、と係の人が
観覧車を押さえてくれる

外にでれば

さっきまでの湿度が嘘のように爽やかだ。


外の世界はこんなにカラッとしているんだ

チャンミンは伸びをした


「思ったほど楽しくなかったね」

そう言ってチャンミンは笑いながらユノに言う


先に降りていたミナが複雑な顔になった

「チャンミン…」

「もう、帰ろ?」

下を向いたら涙がこぼれそうだ

ミナにはすべてお見通しかもしれないけれど

チャンミンは笑いながら
空を仰いだ

「あー窮屈だったなー観覧車」


ソンヒだけが不思議そうな顔をしていた

「チャンミン君、なにかあった?」

ユノは返答に困った

なにかあったのだろうか。
自分になにか悩み事でも話したかったのか

その悩みがとてもネガティヴなもので
自分が結婚なんて言ったから言えなくなってしまったのか

だけどね、チャンミン

お前の恋の話だったりしたら

俺はあの密室で耐えられそうにない

ごめん




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こんばんは、百海です。

いつも読んでいただいてありがとうございます

コメントにお返事していなくてすみません。

時間的な問題より
いくつか、お返事に困るコメントをいただいていまして(^◇^;)

つまずいてしまい、滞っております。
抜かしてお返事するのもどうかと思ったりして。

たくさんの方に読んでいただいている証なのだと
そこは前向きにとらえております。

不義理をしまして、すみません。

でも、毎日コメントくださる方
こう、読んでいてたまらず、といった感じでコメントくださる方

またおひさしぶりです、ということで
あ、読んでいただいていたんだな、とうれしく思ったり

はじめまして、で思いをぶつけてくださる方。
たまに、ラブレターのようなものもいただき
くすぐったい思いもさせていただいています。

ほんとうにありがとうございます

励みにさせていただいております。

これからもよろしくお願いいたします



湿度(9)



ユノの笑顔が穏やかだった


お昼ご飯を一緒に食べようと
ミナと一緒にユノ達を探していたチャンミン

スマホに連絡しても反応がなかった

ミナと探し回り
エントランスの近くでやっと見つけた


まさか、帰ろうとしていたの?
ソンヒさんと?

お昼は一緒にと…そのつもりだったのに


2人がエントランスに向かう後ろ姿を見たら
悲しくなった

置いていかれたような
そんな気持ち


だから、気持ちを切り替えるように、
思い切り笑って手を振った

ユノヒョン!


振り向いて少し驚いたような顔をしたヒョンが
ここしばらく見なかった、懐かしい笑顔になった

久しぶりに見た、ユノヒョンの笑顔だった



「スマホになんども連絡したのに!」

「え?あ、ほんとだ。全然気がつかなかったよ」

「もう!」

「悪い悪い、どうした?」


「ヒョン」

「なんだ?」

「帰ろうとしてたの?」

「あ…えっと…」

「ご飯は一緒にって、そのつもりだったのに」


「あたしがちょっと疲れちゃったのよ」

ソンヒが本当に疲れたように言った。

「オンニ、連絡したのよ?」

「ごめん、ミナ、気づかなくて」


ミナは少しだけ孤独な気持ちになった。

ソンヒは本当は気づいていたのだろう
自分が盛んに連絡していることに。

自分たちを置いて、ユノと2人でどこかに行こうとしてたのだ。

私の事は邪魔なのだ…


そして、チャンミンが声をかけた時の
あのユノさんの笑顔


ユノさんはきっと、チャンミンと同じ気持ちだ




チャンミン、あなたは大丈夫
上手くいくよ

ここで自分とチャンミンは実は立ち位置が違っていたのだと、ミナはそう思い知らされた気がした。


「ミナがさー、キンパ作ってきたんだけど
ほんとにちょっとしかなくて」

「あら、なによー全部たべちゃったくせに」

ミナとチャンミンのやりとりにユノが俯く。

ほんのりと笑ってはいるけれど
何か諦めたような…そんな笑顔


ユノの纏う空気が突然変わったような気がする
どうしたんだろう

チャンミンは言いようのない不安に襲われた


4人は園内のレストランに入り
それぞれ注文をした。


「2人で何に乗ったんだ?」

ユノが穏やかにミナとチャンミンに聞いた


「何って別に…」

「なんだっけ」

「なんかパンダのと…」

2人は顔を見合わせる

ミナとチャンミンは微笑ましい
とても気持ちの良いカップルだ


ユノは思い巡らせていた

なぜ自分が…いつも積極的に彼女を作ろうとしてたのか

チャンミンへの気持ちが高まると
なにかイライラして、誰かを誘ってきたのだ

彼女がほしかったのではなくて
チャンミンへの想いをはぐらかす為だったんだな

それでもやっぱりそばにいてほしくて
彼女に友達をチャンミンに紹介するように頼む

そうか…だから俺は

そのコとチャンミンが仲良くなると
無性に焦ったんだ。


俺はなんてやつだよ…

自分勝手だな…ほんと

自分の気持ちを認める勇気もなくて
そこから逃げていたんだ。

ユノの頭に、あの夜みた男同士のキスがフラッシュバックする

俺はこの想いから逃げ切ってみせる。

チャンミンにこの気持ちが知れてしまったら
もう二度と元の俺たちに戻れない

そんなのは、絶対にいやだ

チャンミン…
この関係はなんとしても守りたい


ひととおり食べ終わって、
コーヒーを飲みはじめる

ミナが笑顔でみんなに言った

「観覧車乗りませんか?」

「ああ、いいね、ここの観覧車は大きくて有名なんだよ」
ユノがそう言ってソンヒを見る

「大丈夫か?」

「もちろん大丈夫よ!観覧車いいじゃない?」

さっきまで疲れたと言っていたのが嘘のように
ソンヒははしゃいだ。

チャンミンはそのソンヒの様子をじっと見つめていた。

4人で店を出て、その観覧車の方向に行こうと歩き始めたところで、

チャンミンが立ち止まった。

「どうした?」

そう振り向くユノの腕には
ソンヒが甘えるように腕を絡めている。


「僕、ヒョンと観覧車乗りたい」

「は?」
驚いたのはソンヒだった。

ユノはチャンミンの申し出に顔を引きつらせていた。

「チャンミン君、子供みたいで可愛いけど…」

ソンヒは苦笑した


「いいじゃないですか、だめ?」

懇願するようにチャンミンがユノを見つめる

「一緒に乗ろうよ、ね?」

チャンミンは眉をハの字にしてユノに詰め寄る

切実にお願いしているチャンミン
その瞳は潤んでいる

ユノの瞳が泳ぐ


ヒョン、今日は我慢したんだ。

ソンヒさんとずっとくっついているユノヒョンを
我慢したんだよ


観覧車にどうか一緒に


固まっていたユノの表情がフッと緩んだ

「子供みたいなこと言うんだなぁ、チャンミンは」

「だめ?」

「いいよ、観覧車乗ろう」

「いいの?!」

チャンミンはチラとソンヒを見た


子供のようなチャンミンに
ソンヒも苦笑していた。

「まぁ、いいわよ、私はミナと乗るから」


ミナに気を使ったわけではない

自分自身が、少しだけユノを独占したかった。
ただそれだけ。

ユノは微笑みながら、チャンミンと連れ立って
観覧車の列に並んだ


スタッフがアナウンスしている

これから20分、大空に近づく観覧車を楽しみにしてください、と。




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湿度(8)



遊園地の日

理由のわからない重苦しいユノの気持ちとは裏腹に
とてもいい天気だった。

ユノが車を出して、3人を乗せて行く

助手席には当然のようにソンヒが乗り込み
後部座席にはミナとチャンミン

ユノの耳は後ろの2人の声を聞こうと研ぎ澄まされ
ソンヒの言葉はほとんど聞こえないと言ってよかった。

ミナとチャンミンのさりげない会話が
その親密度を物語っているようで、
なぜかユノは変な汗をかいていた。


「キンパなんか作っちゃった。」

「は?なんで?遊園地っていったら、ホットドッグだよ」

「だよねーなんか変なとこ張り切っちゃった」

「いいよ、今回はミナのキンパ食べてやる」

「じゃ、私はホットドッグ食べるから
キンパお願いね」

「なんだよそれ」

ケラケラと楽しそうな笑い声

ユノの受け取る印象とは全く別の感情が
2人には宿っている。

チャンミンとミナは同志だった。

お互い報われない想いを抱える者同士
この世で唯一、自分の苦しみをわかってくれる相手

遊園地に着き、4人はエントランスから賑やかな夢の世界に入る

ソンヒはもう自分の想いを隠すこともせず
ユノの腕にぶらさがるようにして歩く

その後ろをチャンミンとミナ

ユノが何かと気にして後ろを振り返っている


ミナの口数が少なくなって行くのをチャンミンは感じた。

「ミナ」

「ん?」

「ちょっと辛いんじゃない?」

「フフ…かなり…」

「……」

チャンミンは少し速足になって
2人に追いつく。

「ねぇ、ヒョン」

「ん?どうした?」

「あのさ、お昼までそれぞれ2人で過ごさない?」

「えっ?!」

「いいわね、ミナたちもいっつも保護者つきじゃね?」

ソンヒはそう言って意味ありげにユノを睨んだ。

ユノはあまりいい顔をしなかった。

「せっかく4人で来てるのにさ
それなら、2人で来たって同じじゃないか」

「あ、あの、大丈夫ですよ
4人で回りましょう」

ユノに気をつかったミナが、慌てて言った

「お昼までなんだからいいじゃない。
僕だって、ミナと2人きりになりたいんだよ」


珍しくチャンミンがユノに刃向かった
しかもその理由はミナ


ユノは震えた


「チャンミンたら」

ミナがたしなめるようにチャンミンのポロシャツの裾を後ろで引っ張る

その様子に、さらにユノの顔が引きつった

2人きりになりたいと
それがミナとチャンミンの想いなのか?

女の子と2人になりたいなんて、そんなこと…
チャンミンは言ったことがなかったのに


「だったら好きにしたらいい。
2人でいたいなら、ずっと2人でいればいいさ」

「ユノヒョン…」

「何怒ってるの、ユノ」

ソンヒも不審な顔をしている

「あ、あの…私も4人で回りたいわ
そうしましょう、チャンミン」

「僕はミナといたいんですよ」

チャンミンが言い終わらないうちに、とうとうユノは歩き出してしまった

ソンヒが慌てて追いかける
「もう、ガンコなんだから」

「ユノさん!」

ミナの声は届かない


「チャンミン、ユノさん怒っちゃったわ
ごめんね、私が辛いなんて言ったから」

チャンミンは握り拳をギュッと握りしめながら
俯いていた

「チャンミン…」

チャンミンはうっすらと微笑み顔をあげた。

「いいんだよ、ミナ。
僕もあのままじゃ辛くて」


「あ…そうか…そうよね」

「これでいいんだと思う。僕もユノヒョンから少し離れて楽しまないとね。」

「じゃあ今日は楽しみましょう
いつも思い悩んで厳しい日々なんだから」

「そうだね、じゃまずキンパ食べよう」

「えーほんと?じゃあ私はホットドッグ」

「なんだよー」


側からみたら、お似合いの素敵なカップルだった。

それぞれに辛い現実を生きている同志などとは
想像できなかった。


ユノは自己嫌悪に陥っていた

一体自分はなんてやつなんだ。


「俺さ、ガンコ親父だよな、まるで」

「そうよ、バカみたい。
ミナたちだって、うまくいきそうなんだから
上手くお膳立てしてあげないでどうするのよ」

「うん…」

「ユノはチャンミン君に対して異常な執着よ」

「可愛いんだよ、ほんとに」

「そうは言っても、もう立派な社会人なんだから、いいかげんウザがられるわよ」

「だよな…」


チャンミンがいなくなった遊園地は
ユノにとって一気に色をなくしたようだ。

さっきまでは、今日はどんなに楽しい一日になるだろうかと。

昨日も車を洗いに行ったり
スーパーで車の中で食べるスナック類をチャンミンを思いながら買ったりした。

チャンミンの好きなチップスや
チャンミンが食べてみたいと言っていたミントのキャンディ

見つけた時は心が踊った
そんな俺はバカだ…

いきなり自分と離れて女の子といたいなんて言われて

怒っている自分はまったくもって理不尽だ。

弟離れ…

ダメなヒョンを許してくれ

ユノは空を見上げて苦笑した



ソンヒに対して申し訳ない気持ちもあって
ユノはなんとかテンションを上げるように努力した。

もうチャンミンと来たという事は忘れて
ソンヒと楽しもうと努力した。

お昼近くになって、そろそろお腹も空いてきた。

「どこか入ろうか」

「お腹空いたわね、私、もう遊園地はいいわ。
ミナたちはまだいるんだろうから、後で迎えに来ることにして、どこか食べに行く?」

お昼まで2人ずつで、というチャンミンの申し出も
なんだか自分がダメにしてしまったのもあったし

チャンミンは自分たちとお昼を食べようなんて気はないのだろうし。

このまま、帰るまで別々でもいいんだろうな。

どうせチャンミンたちは、もうミナの手作りのキンパでも食べているのかもしれない。

寂しい気持ちは否めない。

でも、これ以上チャンミンに執着すると、まわりにも迷惑だ。

いいかげんにしろよ、俺…


「ああ、そうだな。ここは出るか。」

そうやって、2人でエントランスに戻ろうとした時だった。


「ユノヒョーーーン」

その声にユノは振り向いた


大きな観覧車を背景に

チャンミンがにこやかな笑顔で手を振りながら
ユノを呼んでいた。


チャンミン……


その姿をみて

ユノの心に何かがストンと落ちた


ああ、チャンミン

そういうことか


この魂の奥からこみ上げるような感情は

そうか

俺は

チャンミンが好きなんだ





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