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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

はじめまして

はじめまして。

ここに書かれているお話しはすべて百海のアタマの中の空想・妄想からなるお話です。

主人公はアジアのスター、韓国の人気男性デュオのお2人ですが

名前とイメージのみで実在の人物とはまったく関係ございません。

そんな2人が愛し合うという、BL小説です。

お2人のイメージが崩れる、BLがわからない、嫌い、許せないと嫌悪される方、
または18歳以下の方は閲覧されないようお願いします。

他にも同事務所のアーティスト様や韓国の俳優さん、女優さんのお名前が出てきますが
同じくご本人とはまったく関係ない空想・妄想の人物になります。

キャラ設定もお話しによってさまざまです。

ご自身が傷つきそうであれば、閲覧されないようお願いいたします。


世知辛い世の中、辛い現実、刺激のない毎日、
そんな日々をこの美しいお2人で癒されたい、と私と同じようにお考えの皆さま、
私、百海の妄想にお付き合いいただければ幸いです。

しつこいようですが、百海固有の空想・妄想のお話しです。
お話しの内容にクレームをつける、誹謗・中傷はご遠慮願います。

性描写が描かれる場合はパスワードによる閲覧となります.
パスワードに関するお問い合わせもご遠慮ください。





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蒼い観覧車 10



ユノは仕事をまとめて終わらせ
チャンミンともう一度遊園地に行く時間を作った。

仕事的にはそろそろ次の段階へと進まなければならない

その朝、ユノは会社には戻らないつもりで
スーツではなく普段着でチャンミンを迎えに行った


いつものステンカラーコートにジーンズのチャンミンが
ユノを見て驚く

「ユノさん…」


その日のユノは完全にオフ仕様だった。


ヘアスタイルは洗いっぱなしでサラサラとして
ユノをいつもよりうんと若く見せていた。

ジーンズに白いTシャツ、濃紺のパーカに白いスニーカー
何も気負うところがなく、まるで大学生のようだ


「おはようチャンミン」

「ユノさん…」

「ん?どうした?」

「なんか、今日若い!」

チャンミンが思わずそう叫ぶと、ユノが楽しそうに笑った。

「なんだよーいきなり失礼な挨拶だなぁ、
元々若いんだよ」

「だって、なんか、そう思ったんですよぉ」

「今日は会社寄らないからいいかと思って」

「はい、遊園地だし、いいと思います!」

ニッコリと優しそうなチャンミンの微笑みに
ユノの心が苦しくなる


時折溢れ出して、止められなくなりそうなチャンミンへの想い…


ユノはそんな気持ちを振り切るように笑った

「さ、乗って?出発しよう」

「はい!」


車中では、たわいない話で盛り上がった。

ユノのカジュアルな雰囲気がより親しみさを増して
2人は仕事という枠を離れてより距離が縮まる

話題も仕事を離れ、自分のプライベートな話で盛り上がることも多かった

「ユノさん、ちゃんと料理してるんですかぁ?
食事は大事ですよ、フフフ」

「まったくしないなぁ、アハハハ…
たまに義妹がたくさん作り置きしてくれるけどさ」

「あ、ミンスさん…でしたっけ?」

「そう、俺がダメダメだから気になるみたい」


その話を聞いて、なぜかチャンミンの心が少しだけ
ジリッと焼け付くような気がした


なんだというのだ。


独り身の義兄を心配して、料理を作りに来てくれる。
それがなんだと?

一度寝たからって、ユノのセクシャルな部分を独り占めできる立場ではない

あの夜、あまりにユノがチャンミンを欲したものだから
ユノが自分の手中にあると勘違いをしているとしたら

だとしたら、自分はひどく失礼なヤツだ。


「どうした?チャンミン、疲れたか?
少し休もうか」

疲れるのは運転しているあなたの方なのに
僕のことを気にする

「はい、ユノさんも少し休みましょう」


景色のいいサービスエリアに車を停めると
ユノは車を降りて、大きく伸びをした

その時、チャンミンの視界にユノの裸の腹が見えて
心臓がドキドキした


その細い腰にやはりどうしてもあの夜を思い出す


仕事上の付き合いがあるからと言っても
やはり、あの夜をなかったことにはできないのかもしれない。

チャンミンはそんな気持ちを払拭するように
明るくユノに声をかける。

「あのベンチに座っててください!
僕、コーヒー買ってきます」

「え?あ、じゃあ、これ、」

ユノが慌ててジーンズのポケットから財布を取り出そうとする

「いいんです、僕が買うから」

「あ、ちょっと…」

チャンミンは走って売店へ行き
コーヒーを2つ買ってベンチに座るユノのところへ来た。

「なんか悪いな」

「いいんですよ、これくらい」

「いただきます」

軽くお辞儀をして、ユノはコーヒーを飲んだ

「ユノさんて…」

「ん?」

「こんなこと言ったら失礼だけど
きちんと躾られて育った感じがします」

「そうか?」

「はい、そう思います」

「母子家庭だから、その辺は母親が気を使ったと思う。
厳しかったよ、よく挨拶とか、細かいことで叱られた」

「そうなんですか…」


母子家庭だったのか…


「母は妾だし、俺はいわゆる婚外子ってやつだから
そのことでバカにされないようにって思ったんだろうねぇ」

凄まじい環境を、この人はいとも簡単にあっさりと話す

そんな風に生きて、結婚したのに…奥さんは自殺

そのあたりの事が知りたかったけれど
とてもこちらから聞けるような内容の話ではない

興味本位で、そういう事を聞くのもよくない

そうチャンミンは思って少し話の矛先を変えた

「そういえば、今日動画を撮れたら
アプリで色を変えられるみたいで。だからそれで
プレゼン資料として動画を作ってみようかと思ってます」

「アプリやソフトを持ってるか?」

「あ、スビンが…持ってるはずなので…」

チャンミンはなぜかスビンの名前を出すことが憚れた


「それで上手くできればイメージを伝えやすくていいね」

ユノはスビンの名前を出したところで何も感じてない

あたりまえだ

ユノさんはもう、僕とのことは仕事としてとらえてくれてるんだ。

僕がそう望んだんじゃないか…



やがて、車は遊園地に着き

ユノはセキュリティから鍵をもらって園に入った

高台の観覧車は色も落ちてしまって寂れている
これはもうすぐ取り壊されて、チャンミンがデザインした観覧車が作られる予定だった。

「さぁ、動画を撮ろう
観覧車を回すことはできないから、撮りながら俺が動いて、こう、動きをだすかな。」

「はーい」

チャンミンはそう返事しながらも、まだ観覧車に触れている

優しそうな横顔

観覧車に触れて、何かを感じとろうとしているのか


ユノは思わず、そんなチャンミンにビデオカメラを向けて
撮影をオンにした

モニターの中のチャンミンは
柔らかな前髪が風に吹かれてなんとも儚く美しかった


上を見上げるために伸ばされた、細くて長い首…


触れたい…

ユノの中に抑えている衝動がぶり返す


ふと、モニターの中のチャンミンがこっちを向いて
ユノは慌ててカメラをオフにした。


「そろそろ撮りますか?僕どいてますね」

「あ、ああ、頼む」


グルリと観覧車を下から撮影し、途中でチャンミンと交代した。

「どうだ?」

「後は植栽の部分も撮りますね」

チャンミンはすっかり仕事モードで
真剣に各部の動画を夢中で撮っていた

ユノはいまひとつ、することがなくなり
ベンチに座ってチャンミンを見ていた

それに気づいてチャンミンがニッコリ笑った

「ユノさん、眠そう」

「そんなことないよ」

「いいですよ、風が気持ちいいからユノさん寝てて。僕、もう少し撮りたいから」

「うん…」

寝ないつもりのユノだったけれど

いつのまにか、ウトウトと眠ってしまった


チャンミンはしばらく夢中であちこち動画を撮っていたけれど、やがて満足してユノが座るベンチに戻ってきた

ユノは頭をベンチの背に預けて眠っていた


綺麗な顔…


男らしく涼やかな目元から
高い鼻筋へとチャンミンの視線は移り

その柔らかな唇を見つめた


この唇がチャンミンの全身を隙間なく食むり
息もできないほど口付けてきたのだ

なんどもなんども…

だらんと膝から落ちた力の抜けた手

筋ばっているけれど、長い指がセクシーだ

この手が優しく頬に触れて
力強く頭を抱きこんだあの夜


指を絡ませて僕を壁に押し付けたそれ

次々にリアルな感覚が蘇る


チャンミンは腰のあたりにぞくりと寒気に似た快感を感じた

ユノはぐっすりと眠っている

チャンミンは…ゆっくりと顔を近づけ

その柔らかそうな唇にそっとキスを落とした






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蒼い観覧車 9




時間が経つにつれ

チャンミンはまたユノを仕事関係の人として
見ることができるようになった

前とまったく同じ、という訳にはいかなかったけれど
躊躇なく仕事の事で相談することができた


そうはいかないのが、ユノの方だった

抑えても抑えても…
チャンミンへの想いは募り

一度その腕に抱いてしまってからは

チャンミンのすべてが欲しいと思うようになっていた

それでも見事にそれを表に出さず
ユノはプロに徹して仕事をした


「もしもし、ユノさん?」

「チャンミンか、どうした?」

「観覧車の件、どうなりましたか?」


チャンミンが観覧車を蒼いカラーでデザインしてから
ユノから連絡が途絶えていた


「うん…もう少し煮詰めてから話そうと思ったけど」

「はい…」

チャンミンは不安になった
あまりいい結果ではなさそうだ

「結果から言うと、下案を見せた時点で
難色を示されたよ」

「あ……そうなんですか…」

「まだがっかりする必要はない。
コンセプトはしっかりしてる事を伝えてあるから」

「プレゼン…次第って…感じですか?」

「そうだな、そこを頑張ろう」

「はい…」

「プレゼンの仕方を練らないとな」

「打ち合わせしたいです、いいですか?」

「もちろんいいよ」


ひさしぶりに、チャンミンはユノと会った

平日の夕暮れ時に時間を作ってもらって
会社の近くのカフェで待ち合わせた

チャンミンが店に入った時には
すでにユノはテーブルについていた

ユノはいつものスーツ姿で
ノートPCを睨みながら、難しい顔で仕事をしていた

「ユノさん」

声をかけると、ユノがヒョイと顔をあげた

その表情がとてもカッコよくて
チャンミンは一瞬頬が紅潮したかと思った


ユノさんて…こんなにカッコいいんだな

今更ながらにそんな風に思った


「チャンミンひさしぶりだな」

ニッコリと笑うユノは真っ白な歯がまぶしい

「はい…」

「座って、コーヒーでいい?」

「はい」

ユノは店員にチャンミンのコーヒーを注文してくれた。


「進んでいるか?」

ユノがパタッとPCを閉じた

「それが…なかなか…」

「最初は順調だったのに、失速したかな。」

「蒼い観覧車っていうのを、クライアントが難色示してるって聞いて…」

「自信なくしたか?」

「そんなところです。
でも、ユノさん…」

「ん?」

「やっぱり、蒼でいいと思うんです。
最初ユノさんと話したイメージがいちばんしっくりくる」

「うん」

「黄色やピンクで目立たせるより
なんかこう…大人が…カップルが乗りたくなるような
そんな…」

「俺もそれでいいと思う。
最新式のアトラクションを揃えた遊園地ができるほど
広くないし、資金だってないんだ。
そこは俺がちゃんと攻めるから大丈夫だ」

ユノの笑顔はとても頼もしかった


こうやってユノさんと話していると
前向きに考えられる


「プレゼンは動画で見せられればと思ってるんです」

「どうやって?」

「今の遊園地を崩す前に、観覧車を撮影して
あとで加工で色をつけて…」

「いいね、リアルで」

「いいでしょう?イメージビデオみたいに音楽もつけて」

「うん、わかりやすい」


ユノが同意してやると
チャンミンはホッと安心した笑顔を見せた


可愛い…チャンミンの笑顔はほんとうに和む


ユノは愛おしさで胸が締め付けられるようで
思わず視線を逸らしてしまった


「ユノさん、遊園地の工事が始まるのはいつですか?」

「再来週くらいになるな」

「じゃあ、来週には行きたいんですけど」

「いいよ、都合つけるから」

「ありがとうございます」


話がまとまり、2人は別れた

ユノは気持ちが高揚するのを止められない

仕事とはいえ、またチャンミンと出かけることができる
ドライブに行くわけではないことはわかっている
チャンミンはあくまで動画を撮りたいだけなのだ

ユノは自分に言い聞かせた


その夜、高まる気持ちを宥めるため
ユノは繁華街に出た

前にチャンミンが酔いつぶれていたバーへ出向いた
チャンミンがいないことはわかっている
だからこそ来たようなものだ

ユノが重いドアを開けて中に入ると
客の視線が一斉にユノに向けられた

待ち合わせの連れではなくてがっかりする顔もあったけれど、その大半はセクシーなユノを見て心ときめかせた

ユノがカウンターに座って酒を注文すると
早速、誰かが隣にやってきた

「こんばんは」

その声がチャンミンに似ていてドキッとして振り返った

「………」

「覚えてます?前にクラブで…」

すっきりと細面の可愛い顔
今時の子らしく、流行りのマッシュヘアが似合う

そうか…クラブで…

チャンミンに声が似ていて、
個室に引っ張り込んだ…男だ…

「クラブで?会った?」

「そうです。覚えていてくれたなんて感激」

笑うと可愛い

顔の骨格が似てるから、声も似るのかな

ユノはそんな風に思った


「ひとりですか?隣座ってもいい?」

「あ、ああ、いいよ」

その男はユノの隣の席に座り、甘いカクテルを頼んでいる

「あなたの隣を独占して、まわりの視線が痛いです」

男はクスクスと笑った

「俺の隣?」

「お兄さん、かっこいいもん」

「そんな……えっと」

「名乗らなくていいです。気にしないで」

「え?」

「お互い、名前も知らないほうが都合がいいことも多いし」

「………」

「この間…」

「え?」

「僕とやってる時、お兄さん、しきりに誰かの名前呼んでた」

「………」

とたんにユノは気まずくなった


チャンミンの名前を呼んでいたのだろうか


「いいんです。僕があなたを慰めたのなら
すごく嬉しいから」

「………なんて言っていいか…わかんないよ」

ユノは苦笑した

「何も言わなくて…いいです」

男はそっとユノの大腿に手を置いた

「今夜は…そういうつもりはないんだ」

「そうですか…じゃこのまま少し飲みましょう」

男はさっとユノの太腿から手をどけると、グラスを持ってユノのグラスに縁を当てた

「乾杯!」

「ああ、乾杯…」


わきまえている男だった

ルールをわかっている

必要以上にしつこくしない
詮索しない


かと言って、大した話もせず
結局、隣の男は、他の男を見つけてついて行く段取りをつけている

「お兄さん、またね」

そう言って、他の男と腕を組み
ユノへ手を振った

面白くない男だと思っただろうな

ユノはやれやれとため息をついて
2杯目の酒を頼んだ


女々しい自分がイヤになる

いつまでもチャンミンを想う
湿度の高い自分がイヤだ

性格がいいとか悪いとか

好きになるのに理由なんかない

彼氏がいるとか結婚してるとか

そんな理由で諦め切れるはずもない


ユノは長い指でそっとグラスを掴み
少し揺らして氷を鳴らした





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蒼い観覧車 8



チャンミンは自分のアパートへ帰った

なんとも後味の悪いユノとの出来事に
チャンミンは何か苦いものでも食べたような
難しい顔をしていた

スビンはどうしているかと、ふと思った。

念のため確認しても、スビンから連絡は入っていなかった

気にしてないのだ
僕が何をしようと

それほどスビンの懐は広くて深い

チャンミンはそう理解して疑わなかった


いつものことだけれど
チャンミンからスビンに連絡をした

「もしもし?チャンミン?」

「ん…」

「今、アパート?」

「そう…」

「昨夜は忙しくて…突っぱねて可哀想なことをしたね」

「……」

「もう落ち着いたから、構ってやれるよ?」

スビンにそう言われると
なんともくすぐったいチャンミンだった

「仕事だもん」

「そっか」

「昨夜はなにしてたか、聞かないの?」

「んーそうだな、ハッテンバに行って適当な相手を探そうとして…結局見つからずに1人家に帰ったってところか」

「浮気したよ」

「おやおや…そうだったか」

電話の向こうでスビンが笑う

「すごくカッコいい人だった」

「上手かったか?」

「なにが?」

「エッチに決まってるよ」

「激しかった」

「痛い目には合ってないか?」


痛い?

ユノさんは…あんなに激しかったのに
僕に触れる手はもどかしいほど優しかった

チャンミンは突然そんな事を思い出したりした

「痛い目になんてあってない」

「じゃ、上手だったんだよ、そいつ」


結局、僕はスビンの手のひらの上で
もがいて甘えているだけ

スビンはなにがあっても動じない

ユノさんみたいに…余裕なく僕を欲しがったりしない


そう言いつつ…チャンミンは昨夜のユノの淫靡な表情が頭から離れない

チャンミンは仕事がはかどらなかった

言われていた園内のグリーンを構築し直さないといけなかったのに、なにも手に付かなかった

ユノさんと…あんなことになったのは
本当にまずかった

仕事の関係だし
スビンの友達だし

でも、ユノさんは大人だから
きっと仕事には昨夜のことは持ち込まないだろう

やりたい仕事ではあったけれど
早く終わるといい、そんな風にチャンミンは思った

やっと仕事に取り掛かる気になれた頃

突然ユノから連絡があった


「あ…僕ですが…なにか…」

チャンミンは慌てた

なにしろ、昨夜の今日だ

「さっき観覧車の模型が出来上がってきたから、早く見せたいと思って。いつ来れる?」

いたって仕事の会話という感じで
昨夜、あんなに絡み合ったことなど微塵も感じさせなかった

「あーえっと、そうですね、明日でもいいですか?」

ちょっと今日行くというのは、憚られた
まだ自分の身体からユノの匂いがしてきそうな状態だ

「わかった。明日何時でもいいから。
結構いい仕上がりだから、楽しみにしてて」

「あ、はい…」


晴れやかなユノの声に
昨夜の事をどうこう思ってるのは自分だけなのかな、とさえ思った。

「あのさ、チャンミン…」

「はい?」

「来づらかったら、スビンも一緒でいいよ」

「え?」

「遊園地の模型なんてなかなか見れないしさ、
俺が連れてきていいって言ってるってさ、そう話してみたらいいよ」

「はい…」

「なんなら、俺がスビンに会いたがってるとか、適当なこと言ってくれてもいいし」

「ん…ちょっと聞いてみます」


電話を切って
ユノはため息をついた…

やっぱり気まずいんだな

自分としては、昨夜のことを吹っ切るために
できる限りなんでもない風を装ったつもりだった


まだチャンミンの温もりが残るこの身体


忘れなきゃ

忘れないと…前に進めない…


ユノは仕事が終わり1人になると、人肌を求めずにはいられなかった

チャンミン…

求めるのは…チャンミンの身代わり

その夜も馴染みの繁華街で、相手を探すユノ

何人もがユノと肌を合わせたくて
そして抱かれたくて縋ってきたけれど

ユノはその夜、誰も抱こうとはしなかった

チャンミンの残り香を
感じていたかった…

それが本音


昨夜の事は…自分にとっては夢の一夜でも
チャンミンにとってはちょっとした間違いなのだ

寛大なスビンは笑って許すのだろう

俺とのちょっとした間違いを



翌朝、チャンミンはスビンを伴って会社にやってきた

「何か滅多に見れない遊園地の模型があるって聞いて
忙しいのに邪魔して悪いね」

スビンはいつもの柔和な笑顔で挨拶する

「いいんだよ、俺が呼んだようなものだから。」

「………」

チャンミンはやはり気まずそうに黙っている

ユノは2人を別の部屋へ通した。

そこには大きな台しかなくて
その上に真っ白な遊園地の模型があった

「うわぁ」

チャンミンが思わず模型に駆け寄る

「ジオラマみたいですね」

「ここにチャンミンが色をつけていくんだ」

「僕が?」

チャンミンが振り向いてみると、
優しそうに目を細め、微笑むユノがいた

チャンミンはドキッとした

その笑顔に色気を感じてしまったから


「緑の部分のジオラマも作らせてるから
今度それと合わせてみよう」

「あ…はい」

ユノが模型のひとつひとつを説明する

指を指す時に、手首に筋が立って
思わずチャンミンがそれを見つめる


この節くれた綺麗な指を辿っていくと、逞しい腕に繋がっているのを僕は知っている

そして、その腕が僕を抱え込み
狂ったように僕を欲したのだ

整然と冷静に模型について語るユノの
もうひとつの顔を僕は知っている

欲望を剥き出しにして
あなたはあんなにも僕を欲しがった

チャンミン、チャンミンと名を呼び

もしかして、あなたにとってあの夜は
思いを遂げた記念すべき夜だったのでは

そんな風に自惚れたくなる

ふと、視線に気づきそちらを見ると
スビンが僕を見つめていた

すべてを見透かしたようなその瞳に
僕は動けなくなる


案の定

帰り道、タクシーの中でスビンがポツリと呟いた


「浮気相手ってユノだったんだね」

「………」

「その辺の輩じゃなくて良かった」

「………」

「ま、だけど、ある意味面倒くさいヤツだから。
なんていうか、良くも悪くも真っ直ぐだしね」


「…そうでもないよ、あっさり解放してくれたし」


チャンミンのその言葉にスビンは吹き出した

「解放してくれた、か…アハハハ」

チャンミンはスビンの態度に困惑した


「あー、ユノはそんなに激しいのか、ウケるなぁ」


「そんなに…可笑しい?」

「知らないからさ、そんなユノを」

「………」

「ま、ユノなら安心した」


それでも


チャンミンの困惑はやがて霧が晴れるように
明るく消えていく


スビンの手のひらの上は
どんなに暴れても大丈夫だ

そこから落ちることなんてない

僕のやることすべてを見守って
緩やかに成長させようとしている

こんなに大きな愛で包まれて
僕は安心して生きていくことができる…


チャンミンはスビンの手を握った

「なに?どうした?」

「ううん、なんでもない。
こうしていたいだけ」







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蒼い観覧車 7



2人して店を出た

ユノはチャンミンの肩をしっかりと抱き
ほろ酔いのチャンミンは、ユノの肩に頭を預けながら
フラフラと歩いた

「ユノさんの肩って頑丈」

「………」

ユノの表情は真剣でどこか固い

何も言わないユノの頬に、いたずらっぽく
チャンミンがキスをした

「フフッ」

チャンミンがユノの顔を覗き込む

「今度はユノさんからキスして?」


ユノがチャンミンの後頭部に手を添えたかと思うと
いきなりチャンミンは激しく抱き込まれて口付けられた

「ん…」

ユノはチャンミンの頭を抱え込むようにして
その可愛い頬に手を添え口づける

舌を絡めた激しい口づけ

チャンミンは息が出来ない錯覚に陥ったけれど
それはユノがあまりに激しかったから

ちゃんと顔を傾けてユノは口付けてくれた

角度を変えて何度も何度も…


ああ、ユノさんて素敵だなぁ

そんな風にチャンミンは思った


しばらくキスは続き

チャンミンはこれから起こる
2人の行為にゾクゾクした


ユノは通りに出てタクシーを止める

「俺の部屋で…いいよな?」

ユノの瞳が色気を湛えてチャンミンを魅了する
チャンミンはこっくりと頷いた

タクシーの中でも、ユノはチャンミンにキスをやめなかった

余裕なく性急な感じが
チャンミンは初めて体験するそれだった

ユノのマンションに着くと
チャンミンはユノに腕を引っ張られるようにして
エントランスからエレベーターに乗る

乗り込むや否や

チャンミンはエレベーターの壁に押し付けられて
ユノに激しく口付けられる

エレベーターがその衝撃で揺れた

両手はユノの手に絡められ
頭上に持ち上げられている


はぁ…

チャンミンもすでにトロトロに溶けそうだ

やがて、エレベーターは止まり

ユノがカードキーで部屋のロックを外してドアを開けると、少し乱暴にチャンミンを中に入れた

既に我慢のできないユノが
再びチャンミンを玄関の壁に押し付けて口付けようとする

「痛っ」

押し付けられた衝撃で
チャンミンは壁に背中をしたたかに打った

「ごめん…チャンミン、ごめん…」

ユノが両手でチャンミンの頬を押さえて
しばし、見つめ合う

獰猛なユノの瞳と、可憐に溶けたチャンミンの視線が
ねっとりと絡み合う

静けさの後…
再びユノは荒ぶる

チャンミンのステンカラーコートをユノが性急に脱がそうとする

「ユノ…さん…」

ユノは返事をせず、チャンミンのジーンズのベルトに手をかける

「ね…ブーツだけ…脱がせて…」


チャンミンはなんとかブーツを脱ぐと
転げるようにして寝室へと連れていかれた


ユノは箍が外れた獣のように
チャンミンを激しく愛した

ユノはチャンミンの麻薬のような美しさに溺れた

責められて、薄く微笑む儚さがあるかと思えば
快感に嬌声をあげる激しさもあるチャンミン

ユノは我を忘れた


ずっと…チャンミンを…こうして自分のものにしたかった

興奮はユノの理性を遥かに超えた…


チャンミンは悦びに震える

雄神のような美しいユノが
これほどまでに余裕なく激しく自分を欲している

チャンミンの肩を掴むその手の強さが
首筋を這うその唇の熱さが…

チャンミンのいたるところを這い回るその舌の巧妙な動きが

スビンのそれとはまるで違う

スビンはいつもチャンミンの反応だけを冷静に楽しむ

こんな風に、激しく求められたことなんてない



チャンミン…チャンミン…

ユノに何度も名前を呼ばれる

甘く低く掠れた声…

切羽詰まったようなユノの呻き声

チャンミンを抱くその逞しい腕が律動と共に筋肉が盛り上がり、
快感を逃そうと喘ぐ顎から、汗が落ちる


普段スーツに身を固めた生真面目なあなたの
どこにこんな情熱が隠れていたの…


うっとりとユノを見つめるチャンミンは
熱を湛えた花のようだ


そんな夢にまで見たチャンミンの…甘く喘ぐ声
目の前にさらされた白い首にユノはたまらず噛み付いた

チャンミン…チャンミン…

好きだ…

好きで…頭がおかしくなりそうだ…

自分はこの妖精のような存在に
すべてを持っていかれてしまう…



やがて…狂宴の時は終わり…


外は白み始め…


現実という朝がやってくる



チャンミンはバッと起き上がった


ユノは先に起きてシャワーを浴びているようだ


どうしよう…


チャンミンの脳裏に浮かんだ言葉はまずそれだった


ユノさんと…寝てしまった…


どうしたらいいんだろう


やがて、腰にタオルを巻いただけのユノが寝室に入ってきた

ベッドの上に起き上がってるチャンミンを見て
ユノはギョッとした

「あ…おはよう…」

チャンミンは振り向いてペコリと頭を下げた
ユノとは視線を合わせなかった

「…おはようございます」


ユノはクローゼットから黒いトランクスとTシャツを取ると、急いで部屋から出て行った

あ…

まずいな…非常にまずい…

チャンミンはベッドから起き上がると
キッチンを覗いた

トランクスにTシャツ一枚のユノがミネラルウオーターのペットボトルを持って、シンクの中を眺めている
考えことをしているのだろうか…

「あの…」

「え…」

ユノが驚いてチャンミンを振り返った

「シャワーを…」

「あ、ああ、いいよ、シャワー使って」

「お借りします…」


陽が昇ったら、急によそよそしくなったチャンミンに
ユノは不安を覚えた

昨夜の事をどのように捉えたらいいのだろう

チャンミンはどう思っているのか…

ユノはチャンミンの気持ちを推し量る事ができず
困ってしまった…

とりあえず

ユノは簡単に朝食の用意をした

オレンジジュースに
シリアルとミルク

サラダを少し


シャワーから出てきたチャンミンが申し訳なさそうに
キッチンに入ってきた

タオルに包まれるその姿がたまらなく可愛い

「あ…」

「よかったら…食べて行って
大したものじゃなくて悪いけど」

「あ、いえ、あの…帰ります」

「え?」

プレートをテーブルに並べようとした
ユノの手が止まった

「帰るの?」

「はい…あの…」

チャンミンがユノに近づいてきた

ユノは再び、チャンミンにキスしたい衝動に駆られる

けれど

その可愛い唇が紡いだ言葉は
ユノを谷底へ突き落とすに十分な力があった


「昨夜は…あんなことになって…すみませんでした」


え…

すみません?


「あの…僕、酔ってたってことで…
そういうことで、お願いします…」

「………」


昨夜のことは…無しにしようというのか…


あんなに激しく

悦びの声を上げていたと思ったのは

俺の錯覚か…


ユノの心と身体に
鉛のように溶けた金属が流れ込むような

そんな重さを感じた…


「スビン…のことか…」

「あ、スビンは…こういうの気にしない…から」

「………こういうのって」

「浮気…」


浮気か…

ユノの中でストンと何かが落ちた…


「わかった…じゃ気をつけて帰って」

ユノは笑った

昨夜の獰猛な獣はどこに行ったのか

まるで同一人物とは思えないような爽やかな笑顔だった


申し訳なさそうに部屋を出て行くチャンミンを見送り

いつものようにユノは1人になった…


ユノは熱く燃え盛る炎が急速に冷えたような錯覚に陥いり、立ち尽くしたまま、目を閉じた


夢だ…


俺は夢を見ていたんだ…


チャンミンを抱く夢

夢だから…夢だからこそ

チャンミンは俺の想像通りに抱かれてくれた


なんだ


そういうことか


ユノはフッと微笑んだ






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