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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

はじめまして

はじめまして。

ここに書かれているお話しはすべて百海のアタマの中の空想・妄想からなるお話です。

主人公はアジアのスター、韓国の人気男性デュオのお2人ですが

名前とイメージのみで実在の人物とはまったく関係ございません。

そんな2人が愛し合うという、BL小説です。

お2人のイメージが崩れる、BLがわからない、嫌い、許せないと嫌悪される方、
または18歳以下の方は閲覧されないようお願いします。

他にも同事務所のアーティスト様や韓国の俳優さん、女優さんのお名前が出てきますが
同じくご本人とはまったく関係ない空想・妄想の人物になります。

キャラ設定もお話しによってさまざまです。

ご自身が傷つきそうであれば、閲覧されないようお願いいたします。


世知辛い世の中、辛い現実、刺激のない毎日、
そんな日々をこの美しいお2人で癒されたい、と私と同じようにお考えの皆さま、
私、百海の妄想にお付き合いいただければ幸いです。

しつこいようですが、百海固有の空想・妄想のお話しです。
お話しの内容にクレームをつける、誹謗・中傷はご遠慮願います。

性描写が描かれる場合はパスワードによる閲覧となります.
パスワードに関するお問い合わせもご遠慮ください。





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死神の恋 3



黒いコートの裾が風にはためく
地獄への道案内をするチャンミンは黒ずくめの服だ。

教会の上には何人かの天使がいて
こちらを見ている

どの天使もテミンと同じ白い服を着ている
この下界から天国へ何人かを見送ってひとやすみといったところだろうか。

なぜ、ここに死神が?と噂しているのかもしれない

チャンミンはそんな天使たちを見上げてため息をつく


正直なところ、羨ましい…

この世で命を全うした善人を
光の世界へと導く白い天使たち


僕といえば…

悪事を働いた人生を自分本位に終えて
右往左往している亡霊に声をかける

まず、そこで煙たがられる

「死神だ」と。

そんなことは無視をして、とにかく罪状を読み上げ、
行き先を告げると

「なんで自分は地獄行きなのか?!」と狼狽える

そこでもう一度罪状を読み上げてやったりする

ほぼ亡霊のすべてはその事に納得をしない

それでも、拘束着をなんとか着せて
暴れる亡霊を地獄の門番のところまで連れて行く

泣き叫ぶ亡霊…

ああ…本当にイヤな仕事だ…

チャンミンは項垂れた



その時、教会のドアが開いて
1人の牧師が出てきた

チャンミンは構わずその場にじっとして
ユノが出て来るのを待っていた。

どうせ、自分のことは見えないだろう


けれど、牧師がチャンミンをじっと見ていることに気づいた

僕が見えてる?


「だれを迎えに来たと言うんだ」

牧師はしかめっ面でチャンミンに問う


「え?見えてる?」

「だれを迎えに来たというんだ。
ここの子供たちはあなたの道案内がいるような子は1人もいない」

「あ…」

「私か?私は地獄行きか?」

「………」

「まさか…」

「……」


「ユノか?」


「…言えません」

「ユノなんだな?」

「………」


だから言えないって言ってんのに


「なるほどね。君たちの考えそうなことだ」

「僕はなにも…」

「………」


フッと牧師はため息をついた


「すまない」

「はい?」

チャンミンが牧師の顔を覗き込むと
その表情は暗く悲しそうだった。

「すまないね、大事な仕事なのに…」

「あ、いえ…色々言われるのは慣れてます」

チャンミンは笑って頭を掻いた


「君の仕事は仕事だとわかってる…
ただ…あのユノが…」

「………」


牧師の目にはうっすらと涙の膜が張っている

「わかってる…ユノはたしかに…たくさん悪さをしてきた…だから仕方ない…」

「あ……」

「導くのは君かもしれない…だけど」

「………」

「すまない…ちょっとびっくりしてな。
牧師ともあろう者が情けないね」

「いえ…」

「いや、ただね…なんていうか…」

「………」


「早死になんだな…なんて人生だ…」


チャンミンは顔を上げて、牧師の顔を見た
牧師のため息が震えているようだ

「あいつの人生はいいことが何もなくてね…」

「………」

「穏やかに死ねる…予定なのか?」

「……言えません。すみません」

牧師はうっすらと笑った

「いや…聞いた私が悪い
君の仕事なんだから気にしないで」

「すみません…」

「こんなこと言ってはいけないんだろうけれど
どうかユノが少しでも死後穏やかに過ごせるように頼むよ」

「彼次第です」

チャンミンはそこまでしか言えない

「わかってるよ、うん」

「……」

「ユノは今、施設の子供たちと遊んでる
みんなユノが大好きで…遊びに来てくれるのを心待ちにしてる。どうかそんな姿を見てやってくれ」

「はい…」

「私はここで牧師をしているカンと言います。
君とはここでこれから何度も顔を合わせることになりそうだね」

「そう…ですかね」

「それじゃ、どうかユノをよろしく」


牧師は教会を出て通りまで静かに歩いて行った

チャンミンは初老のカン牧師がとぼとぼと歩いて行く
その後ろ姿を見送った

昔からユノを知っている人なのだろうか

少なくとも、ユノが亡くなったら
悲しむ人間なのだろう

チャンミンは黒いバインダーを取り出して
サラサラと何かを書き綴った


施設の中から、まだ笑い声が聞こえている

チャンミンはすーっと教会の屋根に上がると
そのレンガに手を置いて目を閉じた

聞こえる

見える

小さな木の椅子に、その大きな長身を折りたたむようにして座り、子供たちに囲まれているユノ。

ユノの手元には小さな絵本があって
その絵を指差してみんなで笑いあっている

ユノはその切れ長の瞳を弓なりに細めて
優しそうに笑っている

これが、僕と出会った時のあのユノと同じ人物か?

あの時は射るような視線で、僕の全身を舐めるように
値踏みするように…

でも今のユノは、目を見開いておどけてみせたり
寄ってくる子供をひとりひとり抱きしめて
その頬に優しくキスをしたり

あの時とは別人だ

ユノ…もしかしたら…少しは楽にしてあげられるかもしれない

僕はたしかに…
死期の迫った悪人を地獄に導く役目だけれど

善良なところを見つけて
少しでも楽な死後にしてあげられるのも仕事なんだ


さて…どうやって再び近づくか

もうあんな出会い方をしてしまった以上
今更友達とか…偶然の出会いなんてないだろう

なんでユノは僕が見えてしまう体質なんだ

チャンミンは舌打ちをしながら
教会から離れて屋根づたいに飛び去っていった


********


教会からの帰り
ユノに1本の電話が入った

「こんばんは」

えーっと

この声は

ユノの頭の中で女性のリストがフル回転する

「ナヨン」

「ウフ…もう声だけで私がわかるのね」

「当たり前だろ。俺の生涯のパートナーなんだから」

「口座に入金したの」

「ありがとう」

「事業資金の少しは足しになったかしら」

「十分だよ。ナヨンの名前を共同経営者にするためのことなんだから、金額は構わないんだ」

「それでも…オフィスはステキにしたいから」

「それは全部ナヨンが決めていいさ」

「ありがと、グァンス」

えっと

俺はナヨンに対してグァンスだったっけ?

「グァンスって誰?」

「あーバレた?
返事しちゃうかと思ったわ、テヨン」


そうだよ、ナヨンに対して俺はテヨンだ
あー危ない

「なんで他の男の名前なんて出す?」

「テヨン…」

「たしかに俺は女に金出させて…
あーなんか気分悪い…信用されてないっつうか
グァンスって誰だよ」

「ごめん…この間2人でいるところを友達に見られて
テヨンのことグァンスって人だって友達が言うから」

「は?」

やべぇ

「見間違いだよね、なんか、他の女に別の名前使ってたりしてって思って。ごめんね」

「なんでもいいけど、他の男の名前を
ナヨンから聞きたくない」

「テヨン…」

「愛してるよ…ナヨン」

「あたしも!」


そろそろこの女とはおしまいにしないとだな
入金も済んだことだし。

ユノはスマホを尻のポケットにしまった


「こんばんは」

「うわっ!びっくりした!」

ユノはいきなり暗闇から人が現れたように見えて驚いた

「驚かせちゃいましたか?」

眉が段違いになって笑う綺麗な男


「…チャンミン!」

「こんばんは」

「こんな夜にそんな黒づくめの格好してるからさ
びっくりしたよ…」

「そう…ですよね」

チャンミンは自分の格好をまじまじと見渡した


「そんなことはいいんだ
それより、探したんだぜ?」

「そうなんですか?喜んでいいのかな」

「お前、金忘れてっただろ
店で怒られなかったか?」

心配そうにチャンミンの顔を覗き込むユノ

あ…

優しいんだ…この人

あの後の僕のことを気にしてくれてたのか

「大丈夫ですよ」

チャンミンはふんわりと笑った

「どこの店?俺、酔っ払って電話かけたっぽい」

「えっと…」

「ボーイズエンジェルにかけたはずなんだけど」

「ボーイズエンジェル?」

「うん」

「えっと、ダークエンジェルです」

「そうなのか、エンジェル違いだったか」

「フフ…」

カラスみたいに真っ黒な格好なのに
笑顔は可愛くて優しい


ユノは眩しげにチャンミンを見つめた

「僕の何かがおかしいですか?」

「いや」

「?」

「今夜、お前を買いたい。いいか?」

「あ、はい…」

「店に連絡は…」

「あ、僕がしておきます」


ユノの瞳に色気が宿る
切れ長の瞳がチャンミンを舐めとるように光る

「じゃ、行こうぜ」

ユノがチャンミンの手を引いた


あ…

また…


ユノの手からチャンミンの心に深い悲しみが伝わってくる

幼いユノの心の痛み?

ユノ…

あなたはどんな悲しみを抱えているの






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死神の恋 2



「えーーー!ダメでしょ」


テミンの蒼い瞳がチャンミンを戒めるように光る

「そんな簡単に人間と交わったりして」

「いきなりだったし、
まさか僕が見えてるなんて思わなくて。
どんなお咎めを受けるんだろうか」

チャンミンは頭を抱えた


「いや、お咎めがあるかどうかより
その男、僕たちが見えるんでしょ?」

「そう」

「その男に情が湧いちゃったりしたら、どうするの?」

「湧かないよ、それはない」

「そんなこと言い切れる?」

「絶対ありえないから。これから査定して地獄へ誘導しなきゃいけないのに」

「せいぜい情けで査定が狂わないようにね」

テミンはニヤリと笑みを浮かべた

「わかってるよ」

「そして…その男の運命を変えたりしないように」

「そんなこと…するわけないよ」

「その時は本当にお咎めだよ?」

「大丈夫!」

「この間も、人間の運命を変えてしまった天使が罰を受けたって」

「どんな?」

「知らないけど、もう姿を見てないから
塵にされて消されてしまったのかもね」

「あーそんなのやだやだ!」

テミンがそんなチャンミンを見て
優しく微笑んだ

「人間て面白いもんね。興味湧くのは仕方ないよ」

「発展途上だからね、魂としては」

「僕たちだって、天使としては半人前なんだから」

「どうせなら、もっと凶悪な悪いやつを地獄に送り込む仕事がしたい」

チャンミンは握りこぶしを叩きつけるような仕草をした。

「それはもっと精進してから」

「まあね」

「あ、下界といえば!」


テミンが何かを思い出したように
パッと明るい表情になった

「チャンミンは下界でマンゴーのスムージーって食べた?」

「え?なにそれ、食べてないよ」

「今、流行ってるんだよ、すごく美味しい」

「あー僕は、あんまりそういう食べ物には
ありつけないだろうな。あの男がスムージー食べるとは思えない」

「わかんないよ?意外に好きだったりして」


………



ユノは、スマホをタップした

「はーい!ボーイズエンジェルです!」

「今夜1人頼む」

「かしこまりました。ご指名は?」

「チャンミンって子」

「は?チャンミン?」

「うん、新入りの。
この間ウチに来たよ。お金持って行かなかったけど」

「えーっと、ユノさんですよね?」

「ああ」

「確かに料金はいただいてませんね
っていうか、その日はテソンが行ったんですけど
ユノさんの家に誰かいたってことで帰って来てます」

「え?」

「はい…今、調べましたけれど
チャンミンって子はウチにいないですね」

「………」

違う店だったかな?

「そう…サンキュ」

「またお待ちしてます!」

ユノはとりあえずスマホを切った


誰だったんだろう


あのチャンミンに再会する術がないと気づくと、
なんだか急に会いたくなった


可愛い男の子を派遣してくれる他の店にも問い合わせてみたけれど、やはりチャンミンは探し出せなかった

心にひっかかる、あのチャンミンという子


金で買われたりする男にしては
とても清潔感があった

綺麗な顔とからだ

優しそうな可愛い表情

抱き心地もとても良かった

思い出すだけで今でも身体が反応しそうなほどだ


いやいや、今は仕事にいかないと
そんな事考えてるヒマはない

ユノはスマホをジーンズのポケットにしまうと
そのボロい家を出た


同じような古い家屋が並ぶ小径を口笛を吹きながらユノが歩く。


ちょうどその頭上あたりを
チャンミンが屋根づたいに歩き、ユノについて行った

ユノが頭上を見上げないかぎり
自分には気づかないだろう


これからしばらく
ユノの生活を観察しなければならないのに
姿を見られるのはとても困る

こうやって、高いところから側にいることはできても
観察するには限界がある。

顔を知られてなければまだしも…

何かきっかけを作って
ちょっとした知り合いになるとか、そんなことが必要になってくる。

って、きっかけはあんなことだったじゃないか…
既にこんな知り合い方をしてしまって…

あーー

チャンミンは頭を抱えた


とにかく


偽造パスポートのブローカーに結婚詐欺
どれも高額なお金を巻き上げて、人を悲しませる

地獄に落ちるには十分なのだか
悪事の程度を査定して、そのレベルを決めなければならない。

調べたところ、この男の最期は「落下」とあった。
穏やかな最期だとは言い難く、もしかしたらそれで十分なのかもしれない。

たとえばそれが、誰かを助けての落下だとしたら
この男は天国行きになる場合もある

それを見届けるのがチャンミンの仕事だった。



ふと、ユノがスマホをタップしている

「あのーお宅にチャンミンってコいます?」


え?

僕を探してる?


「あ、そう。わかりました。じゃいいです」


ユノは、僕が風俗店から派遣された男だと思っているのだろう

また僕を指名しようと店を探しているのか

そうだとすれば

僕はその路線でユノにもういちど近づかなくては
ならないのか…

チャンミンは大きくため息をついた


いくら人間と交わったからといって
チャンミンの身体に特にダメージはないけれど
あまり親しくなるのはいかがなものか。


ふと、ユノが立ち止まった

それは古い教会の前だった


ユノは落ち着かなそうに教会の前をウロウロとして
その隣の古い建物のチャイムを鳴らした

その様子をチャンミンは教会の塔の上に立ち観察した

なぜこの男は教会なんか…

しばらくすると、そのドアから何人もの子供たちが出てきた

「ヒョン!!」

「ユノヒョーーーン!!」

「みんな元気か?風邪引いてる奴はいないか?」

「いないよー!
ヒョン入ってー!今日は僕が一番最初に遊んでもらう約束!」

「ヒョン、抱っこ!」


すごい人気だ

子供たちから絶大な人気である


ユノが子供たちに急かされるように中に入ったのを見届けて、チャンミンは地上に降りて、その玄関に立った。
黒いコートの裾が綺麗に舞い上がる


「児童養護施設」

施設…

あの子たちは…

いろいろな事情で親と暮らすことのできない子供たち

そんな子供たちとなぜあの男が関わるのだろう


「チャンミンじゃないか」

ふと声をかけられて振り向くと
白い装束を纏ったジョンウという天使が立っていた

「ひさしぶりだね、ジョンウ
教会だから、誰かいるかなとは思っていたけど」

「チャンミンがなぜ教会?」

「うん、観察中の男がなぜかここに入っていって」

「だれ?」

「ユノって男」

「えっ?彼、チャンミンの観察下なの?
なんで地獄行き?」

ジョンウは意外な表情だ

「うん…細々といろいろやってて…」

「彼は…ユノはいい人だよ
施設の子供たちの面倒をよく見てくれて」

「そうみたいだね…人気者って感じ」

「この子たちは、ユノが来るのを心待ちにしてるよ」

チャンミンは懐からメモと羽のついたペンを取り出すと
サラサラと書き始めた

「できたらチャンミン
ユノの査定を良くしてやってほしい。
彼が教会のためにどれだけ尽力してるか、俺は証言できるから」

「ふむ…いろいろと調べる必要がありそうだね」

「チャンミン…」

「ん?」

「彼はいつ?」

ジョンウの表情が切ない

「あー」

「彼は穏やかに逝けるの?」

「…1ヶ月以内だそうだ。死因はごめん、言えなくて」

チャンミンは努めて事務的に話した

「そうか、可哀想に…」

「仕方ないさ、人間は誰でもいつか死ぬ」

「うん…僕が天国へ連れて行ければ良かったのに」

ジョンウの優しい表情が、チャンミンの心をザワザワとさせる

悪者を地獄に落とす仕事に疑問を感じはじめていたチャンミンは心が揺れないように目を固く閉じた

そして、パッと表情を変えるとにっこりと笑った。

「僕の仕事ではなくなることを祈るよ
ジョンウにバトンタッチできたらいいね」

「…そうだね…」


施設の中から、ユノのおどけた声と子供たちの笑い声が聞こえてくる





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死神の恋 1




フワフワとした雲の上

透き通るような金髪の巻き毛

白いロングブラウスの背中には
柔らかな羽根が生えている

そんなテミンが難しそうな顔で書類の束を見ている

ふと、その白い指が一枚の書類に触れた


「ヒョン!チャンミニヒョン!」


声は足元の雲に一瞬バウンドして
柔らかに跳ね返る


しばらくすると

何もない空間に、霧が現れた

雲の上に次第に上がってくる…
グレイからやがて漆黒の姿へとそれは変化した


黒いロングコートに黒いシャツ、そして黒いブーツ

柔らかな栗毛は少しテミンと似ているけれど
穏やかな、けれど固い表情はテミンのそれとは別だ。


「どうしたの?テミン」

「地獄行きみたい、これ」

テミンは指に挟んだ書類をヒラヒラと揺らしてみせた

「テミンではなく、僕の仕事?」

「地獄行きだって言ったでしょ」


黒装束のチャンミンがため息をつく。

「テミン、地獄ってはっきり言わないで」

「だって…」

「まだ決まったわけではないんだから」

「ヒョンが査定すればみんな真っ直ぐ地獄行き」

テミンがニコニコといたずらっぽく微笑む

「査定結果によっては地獄とは限らないよ」

「だって、サイテーだよ、この男」

「そうなんだ、じゃあ早く終わるかな」

「査定期間1ヶ月だって」

「残りの命が1ヶ月か。既に病気?」

「ちがう、事故死」」

「見せて」

テミンは書類をチャンミンに渡した


チョン・ユンホ
30歳
予定死因:落下事故により急死

幼き頃より盗みを働き、結婚詐欺の常習犯
現在、表面上無職
偽造パスポート作成で不法滞在の外国人より
高額な金額をせしめている


「なるほど」

チャンミンは書類を読むと二つ折りにして
胸ポケットにしまった

「さっさと片付けてくる」

「もし天国行きなら早目に連絡してね」

「それはなさそうだね」

「そんなに?」

「うん、騙された女性の泣き声がすでに
僕の耳に入ってくる」

チャンミンは目をギュッと閉じて
自分の胸に手を置いた


チャンミンの耳の奥に女性達の泣き声がこだまする

" 私がいなきゃ、ユノはだめなのに…"

" ユノの何がわかるの?彼には私がいないと…"


「みんな…可哀想に…
一番残酷なパターンで女性を捨ててると見た」

「そんなの、女の方にも隙があることも…」

「テミン」

チャンミンがたしなめると、テミンはバツが悪そうな顔をした。

「テミンは天使らしからぬ発言が多すぎるよ?」

「チャンミニヒョンも死神らしからぬ気遣いが多いと思うよ」

「死神って言うな」

「だって…」

「僕だって、立派な天使なんだ
悪人専門っていうだけで、テミンとは衣装も違いすぎるよ」

チャンミンは面白くなさそうにつぶやく


「下界へ降りるとよくわかるよ。
たまに僕たちが見える人いるでしょ?
僕のことは天使っていうけど、ヒョンは死神って言われてるし」

「納得いかないよ。
2人とも、亡くなる人間を導くことに変わりないのに」

「いつか、異動になるかもしれないしさ」

「この黒装束はテミンの方が似合いそうだ」

「どうだかね?」

ニッコリと微笑むテミンはまさに天使の笑顔だ


「じゃあ、行ってくるよ」

「はーい、気をつけてね」


チャンミンは雲の切れ間から下界へと降りて行った

時間は夜

チョン・ユンホの住まいを見つけた

崩れそうなボロ小屋

不法入国者から金を巻き上げてるはずなのに
家には金をかけないタイプか。


チャンミンはその家のドアの前に立ち
そっとドアをすり抜けようとしたその時

いきなり目の前のドアが開いた

「!」

真正面からチョン・ユンホと向き合う形となったチャンミンは驚いて目を大きく見開いた


「へぇー」

チョン・ユンホはチャンミンを見てニヤッと微笑んだ

スッキリと細い顔、涼しげで整った目鼻立ち
背は高く、身体は程よく筋肉質で締まっている


え?

見えている?僕が?

確実に視線が合っている


「いいね、可愛いよ。新入り?」

「はい?」

「お前の店はいいの取り揃えてるねー相変わらず」

「あの…」

「ま、いいから入って」

チャンミンは腕を引っ張られ、ボロ屋の中に引きずり込まれた

「ちょっ!!!」

崩れそうにドアが閉まる

チャンミンの目の前にチョン・ユンホの顔がある

「前金?」

「え?」

「ユノって呼んで。金は後でいいのか?」

「あの…ユノは…僕が見えてます?」

「なんだよ、天然キャラか?いいねー♬」

ユノはチャンミンの顔を両手で押さえ込み
耳元でそっと囁いた


「キスは禁止なの知ってるけど、いいよね?」

「え?キ…ん!!」

チャンミンはいきなりユノに唇をキスで塞がれた

目を白黒させてもがくチャンミンの口の中に
容赦なくユノの舌が入り込む

「ん……」

その時、チャンミンの心に一瞬だけ
とてつもない「寂しさ」が流れ込んできた

これは、この男の…寂しさ?

唇を離してくれたかと思ったら
今度は抱きしめられた

「あ、あの…ちょっと…」

「緊張してるね、この仕事はじめて?」

「仕事?」

「大丈夫、俺、優しいから」

「何がですか?」

「もう、可愛いんだから、たまんないね」

ニヤニヤと笑いながら

ユノはチャンミンの黒いシャツのボタンに手をかける

「な、なにしてるんですか?」

「言わないとダメ?
あ、そういうプレイ?」

「シャツのボタンを外されてるのはわかりますけど
なんのために?」

みるみるボタンは外され
チャンミンは上半身裸にされてしまった

チャンミンのカラダを驚いたようにユノが見つめる
そして感嘆のため息をついた


「なんのためにって…
いちいち言葉にしてほしいタイプ?」

「そりゃ…」

ユノの手がチャンミンの裸の腰にまわる

「ひぇっ!」

「ほんとに綺麗だよ
いくらでも言ってあげる」

そう呟くと
ユノの切れ長の瞳がチャンミンの横顔に近づく
そして唇がチャンミンの耳を襲う

「あ、あのっ!」

そして、チャンミンはユノの硬いベッドに沈められた




ギシっという音でチャンミンは目が覚めた

古いベッドがユノが起き上がった拍子に
大きく傾いたのだ。

横たわるチャンミンの背中で
ユノがあくびをするのが聞こえる


チャンミンの目の前には
教会で使う子供用の椅子がある

ユノがベッドの上でチャンミンを跨ぐと
さらにベッドが傾いだ

チャンミンの視界に
裸にトランクスだけのユノがキッチンに行くのが見えた

背中の筋肉が逞しく盛り上がる

小さな冷蔵庫からユノがペットボトルを2つとって乱暴に締めると、古い冷蔵庫のモーター音がおかしな音になった。

ユノがベッドに近づいて、
木の椅子にペットボトルを1つ置いた

「飲みな」

チャンミンはその言葉には返事をせず
再び目を閉じた

ユノがガサガサと何か音を立てている

「はい、これ」

チャンミンがもう一度目を開けると
目の前の木の椅子の上に数枚の札があった

「名前なんだっけ」

「…チャンミンです」

「チャンミン、すげぇ良かったよ。
また指名するから」


「………」

「俺、出かけるけど
そのまま帰っていいから」

「鍵は…」

「そんなのいいよ」

そう言い捨てて、ユノがボロ屋から出て行った


チャンミンはゆっくりと髪をかきあげて
ベッドから半身を起こした

あーー

まずい…お咎めは免れないな

人間と…交わってしまった…

僕としたことが…

しかも…これから地獄へ誘導しなければならないのに
そんな相手と…


あーーー!もう!


チャンミンはまたばったりと
硬いベッドに倒れた





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こんにちは、百海です

台風がいくつも生まれる不思議な夏ですね
いかがお過ごしですか?

新しいお話がはじまりました。
最近、ほんとにファンタジーづいていて
描いていて楽しくてしかたないので、またファンタジーです

ちょうど韓国ドラマの「トッケビ 」にハマっていたところで、大好きな映画「ベルリン・天使の詩」をなぜか想い出してしまい、こんなお話を描いてみたくなりました。

チャンミンは天使ですが、
亡くなった人間を天国ではなく、地獄へ導く役目を担っています。
詐欺や偽造を働くユノを地獄へ導くべく下界に降りたチャンミンは、そんなユノに恋をしてしまいます。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです

そこに愛はあるか〜完〜



あれだけクールに調査をかわしていたチャンミンが、
まるで子供にかえったように甘える姿

まわりの調査官はあっけにとられてその様子を見ていた

最初に対応した係の男が怪訝な顔をして部下に聞く

「なんでいきなりシム・チャンミンを解放したんだ?」

「だって…長官のことを…」

「ハッタリなんだよ」

「そんなぁ…言ってくださいよ。
あの長官のことだら、アリかと…私はマズイと思って…」


ユノがチャンミンの肩を抱きながら
まわりの調査官をにらみつけた

「随分と長いこと拘束してくれたな?」

すると、チャンミンをずっと尋問していた男が
ユノの前に出てきて正面から向き合った

「なんだよ」

ユノが臨戦態勢だ

その男はゆっくりと深呼吸をして
手元のバインダーにメモをとる。

「チョン・ユンホさん
あなたが身元引受人でいいですか?」

「ああ、いいよ」

「調査は終わりました。
というかとっくに終わってました」

「?」

「インサイダー取引の様子もなければ
詐欺も働いていない」

「当たり前だ」

「逆に…これから大変だと思います。」

「は?」

チャンミンがびっくりした顔をする

あれだけ悪態ついて対峙してきた調査官がどうしたのだろう

「彼は何も出来ませんし
待遇についても布団がどうとか文句ばかり」

チャンミンがキッと調査官をにらんだ

「ウラは完璧でした。たしかに。誰も陥れてない。
だけど多くの資産を失ったことに変わりはない」

「………」


「ま、大抵ここでヤケになって何かやらかすんです」

「お前…」

一歩前へ出ようとするユノをチャンミンが押さえた。

「ところがね…愛とかなんとか、そんなのがあるようで」

「?」

ユノが怪訝な顔をすると、チャンミンがクスッと笑った

調査官がそんなチャンミンをみて
やれやれという顔をした

「ユンホさん…
これからどうするんです?可愛いだけのこんなワガママな男を」

ユノがたまらず前へ出た

「は?!可愛い?!何言ってんだお前!」


「ユノ、いいからっ!」

「なんでこいつはお前のことを可愛いとかいうんだよ!」

「なんでもないから、ねっ?」

「なんでもないのに、可愛いとか言うか!
どんな取り調べだったんだよっ!」


ユノを押さえながら、チャンミンの心には温かい何かが溢れる

嫉妬に狂うユノがチャンミンはとても嬉しい

サロンに通っていたころ

ユノはそういう独占欲をまったく見せてくれなかった

チャンミンが誰と親しくしていようが
元カレや元カノといちゃついても我関せずで。

その度に、ユノが欲しいのは自分ではなく
その地位やコネなのだなと

そう気づかされては寂しい思いをしていた

そんな日々がもう遠くに感じる

今、この胸に溢れる温かい想い…
それはきっと愛だ

僕たちの間には愛がある

チャンミンは子供を嗜める母のような瞳で
ユノを愛おしそうに見つめた



ユノは頭に血が上ってしまい
調査官に摑みかかり、その勢いが止まらない


「ユノ、落ち着いて、ね?」

宥める言葉とは裏腹に
チャンミンがなぜか嬉しそうにユノに抱きつく

気づけば、ユノはチャンミンの前でこんな風に感情を露わにしたことはなかった

嫉妬なんて、バカにされ、呆れられ
ウザいと捨てられてしまうのでは、と。

それが怖くて、嫉妬する自分をクールに隠し通して来た

それが今はどうだ

我に返ると恥ずかしいほどの今の俺を
嬉しそうに見つめるチャンミン

こんなにも独占欲をあからまにしたって
ウザがるどころかニコニコと嬉しそうだ

俺の肩を優しくポンポンと叩いて笑っている

その笑顔を見ていると
心に温かい何かが湧き出てくる

これはきっと愛だ

もう隠さない

俺たちには愛がある
大好きな気持ちを隠すなんてしない


落ち着いたユノと、宥めるチャンミンは
いつかお互いを愛おしそうに見つめ合っていた


ソクジンが調査官に尋ねる

「なぜ取り調べが終わっているのに
解放してくださらなかったんでしょうか」

ユノたちの姿をみて、呆れたような調査官が
さっさと書類を片付け始める

「肝心なところは最後まで黙ってたんですよ、彼。
それで調査が終われるのに」

「なぜでしょう?」

「あのユンホさんが迎えにくるのを待つんだ、とね。
こちらから呼ぼうとしたのですが、彼から来てくれるのを待つと」

「あ…」

「だから、硬いベッドと不味い食事に耐えてました」

「そう…ですか」

「そんなの耐えるくらいなら迎えに来いと言えばいいのに、めんどくさいですね、彼は」

「ユンホ様はきっと…
そんなところを可愛いと思っていらっしゃるのだと思います」

「わかります」

「は?」

「あ、いや、なんでもありません」

調査官は持っていたバインダーで狼狽える自分の顔を隠した

ソクジンは穏やかに微笑んで調査官にお辞儀をした


外ではすでに
ユノは車にチャンミンのちょっとした荷物を積んでいた


「さあ、帰ろう」

「うん」


もう何にも持っていないけど

ここからもう一度はじめればいい

何もなくったってそこには愛があるから

大丈夫


「爺!早く乗ってー」

「はいはい、今参ります」


大旦那様…

周りの方に甘えながら助けられながら仕事をされていた大旦那様をなぜか思い出します

あなた様と同じ力をぼっちゃまは持っていらっしゃるようですね


わたくしは、ぼっちゃまの将来が楽しみです



************



「あ、コーチ!おはようございます!」

「なんでこんなに早く来てるんだ?」

ジャージ姿のユノが、タオルと飲み物を持って
体育館に現れた

選手たちがベンチを拭いたりしている

「掃除なんかして…もしや、お前ら」

ユノの顔が険しくなる


「だって、コーチ!
今日は王子…いや、オーナーが来るんでしょ?」

「だからなんだよ、家を掃除してから来るから
まだまだ来ないよ」

「コーチ!オーナーに掃除させてるんですか?!」

「悪いか?」

少し得意げな顔のユノ


「おはようございます」

そこへ、爽やかにチャンミンが現れた

ブルーと白の細いストライプのシャツに
白いコットンパンツ

どちらもスーパーで買ったものなのに
恐ろしく高級に見える

手にはたくさんの飲み物を抱えていた

チャンミンを見た選手たちの顔が上気する

「オーナーおはようございます!」

「おひさしぶりです!」


選手たちの瞳がハートだ


うーーーーー!

面白くない!


楽しげな空気の中、ユノだけが落ち着かない

ユノのイラだちなどお構いなしに
チャンミンがにこやかに微笑む

「差し入れ持ってきました
あとでみなさんで召し上がってください」

「はいっ!」

「シュート10本連続で決めれなかったやつは無しだから」

ユノが憮然とした表情で言い放つ

「えーーー」

すると、大勢の選手の中から
一番若手の選手が前に出て手を上げた

「僕、オーナーのために10本決めます!」

チャンミンが嬉しそうな顔をすると
ユノの怒りも倍増する

「お前は100本決めても無し!!」

「ユノ、そんな…」

前のめりになるユノをチャンミンが笑いながら
宥める

ユノの嫉妬に狂う姿は、選手たちの大好物だ

みんなが笑いをこらえて2人を見守る

ユノのことが選手たちは大好きで

綺麗なオーナーのことはもっと大好きで

自分のために、そして大好きな人のために頑張る

そんなだから

このバスケチームはどんどん成績をあげていった



みんなの笑い声が…青い空に響き渡る


なんにもなくったって
愛に溢れた毎日があれば人生は十分

チャンミンは青空を見上げてそう思った



end




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百海です。

今回も最後まで読んでいただいて
本当にありがとうございました。

最初は10話程度の起承転結のない軽いお話を描こうと
思っていたのですが、なぜか15話に膨らんでしまいました。

強がりで、思い込みの激しい2人でしたw

前回のお話から間が空いたので
もう忘れられているかと思っていました。
でも、みなさんがすぐに戻ってきてくださって
ほんとに嬉しかったです

次のお話はもう筋書きはできているのでそんなに開かないとは思いますが、またぜひ遊びにきてくださいね

今夜からSMTOWNですね
私はライブビューの参加ですが
台風に負けずに応援しましょう!

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